专利摘要:
本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸を含む組成物、およびCSN5遺伝子発現をサイレンシングするための該組成物の使用方法を提供する。より具体的には、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾干渉RNA分子および化学修飾干渉RNA分子、ならびにその使用方法、例えば、癌などの細胞増殖障害を治療するための使用方法を提供する。本発明はまた、干渉RNA分子、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸-脂質粒子を提供する。
公开号:JP2011516094A
申请号:JP2011505173
申请日:2009-04-15
公开日:2011-05-26
发明作者:アダム ジャッジ;スノッリ;エス. ソルゲイルション;イアン マクラクラン;ユン‐ハン リ
申请人:アメリカ合衆国;プロチバ バイオセラピューティクス インコーポレイティッド;
IPC主号:C12N15-113
专利说明:

[0001] 関連出願の相互参照
本願は、2008年4月15日に出願された米国特許仮出願第61/045,251号に係る優先権を主張する。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
背景技術

[0002] 発明の背景
細胞増殖およびプログラム細胞死は、生物の成長および発達において重要な役割を果たしている。癌のような増殖性疾患においては、細胞増殖および/またはプログラム細胞死の過程が、しばしば、攪乱される。例えば、癌細胞は、おそらく変異のため、細胞周期の正の調節因子の過剰発現または細胞周期の負の調節因子の減少のいずれかを通して、無調節の細胞分裂を有していることがある。または、癌細胞は、アポトーシスの負の調節因子の過剰発現を通して、プログラム細胞死を受ける能力を失っていることもある。従って、癌細胞のチェックポイントコントロールおよびプログラム細胞死の過程を回復するであろう、新しい治療剤を開発する必要が存在している。]
[0003] RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)の認識が、最終的に、遺伝子発現の転写後抑制をもたらす、進化的に保存された過程である。この抑制は、相補塩基対合を通してmRNAの特異的な分解を誘導する、低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる短いdsRNAによって媒介される。いくつかのモデル系において、この天然の応答は、遺伝子機能の調査のための強力なツールへと開発されている(例えば、Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188-200(2001)(非特許文献1);Hammond et al.,Nat.Rev.Genet.,2:110-119(2001)(非特許文献2)参照)。より最近、合成21ヌクレオチドdsRNA二重鎖の哺乳動物細胞への導入が、遺伝子発現を効率的にサイレンシングし得ることが発見された。正確な機序はまだ不明であるが、RNAiは、関心対象の遺伝子を不活化するための新しい方式を提示する。特に、癌のような新生物障害の処置のため、RNAiは、ある種の遺伝子、例えば、抗アポトーシス分子、増殖因子、増殖因子受容体、有糸分裂紡錘体タンパク質、細胞周期タンパク質、血管形成因子、癌遺伝子、細胞内シグナル伝達因子、分子シャペロン、およびそれらの組み合わせの発現をモジュレートする(例えば、低下させる)ための可能性のある新しいアプローチを提供する。]
[0004] このような標的の1つはJun活性化結合タンパク質(Jab1)であり、c-Junの活性化ドメインと相互作用することによって初めて特定された(Claret et al., Nature, 383:453-457(1996)(非特許文献3))。Jab1は、転写因子c-JunまたはJunDの複合体を、これらの特定のAP-1転写因子結合部位において安定化して、標的遺伝子活性化の特異性を高める。シロイヌナズナ(Arabidopsis)においてCOP9シグナロソーム(CSN)の一成分として相同タンパク質が特定されており(Kwok et al., Plant Cell., 10:1779-1790(1998)(非特許文献4))、その後に、COP9シグナロソームサブユニット5(CSN5)と名付けられた(Deng et al., TrendsGenet., 16:202-203(2000)(非特許文献5))。Jab1/CSN5はCOPS5とも知られ、約40kDaの可溶性タンパク質である。他のCSNサブユニットと同様に、Jab1/CSN5は植物界と動物界の間で高度に保存されており、シロイヌナズナに由来する相同タンパク質とヒトに由来する相同タンパク質は>60%のアミノ酸同一性を有する。Jab1/CSN5はN末端にMPN(MPR1-PAD1-Nterm)ドメインを含有する(Hofmann et al., Trends Biochem. Sci., 23:204-205(1998)(非特許文献6))。このドメインは、CSNサブユニットのいくつか、プロテアソームの調節蓋部(regulatory lid)、および翻訳開始因子eIF3に共通にあり、いくつかの未知のタンパク質に存在している(Glickman et al., Cell, 94:615-623 (1998)(非特許文献7); Hofmann et al., 前記(非特許文献6); Wei et al., Curr. Biol., 8:919-922 (1998)(非特許文献8))。]
[0005] Jab1/CSN5の過剰発現が、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、胎児性横紋筋肉腫、および口腔扁平上皮癌において報告されている(Kouvaraki et al., Cancer Res., 63:2977-2981 (2003)(非特許文献9); Sui et al., Clin. Cancer Res., 7:4130-4135 (2001)(非特許文献10); Tsuchida et al., Jpn. J. Cancer Res., 93:1000-1006 (2002)(非特許文献11); Fukumoto et al., Oncol. Rep., 11:277-284 (2004)(非特許文献12); Shintani et al., Oncology, 65:355-362(2003)(非特許文献13))。さらに、Jab1/CSN5の高発現は低レベルのp27および予後不良と関連づけられており、このことは、Jab1/CSN5が、これらの腫瘍タイプの進行において重要な役割を果たしている可能性があることを示している。ヒトの癌が発生している間の早期硬変および腺腫様過形成(dysplastic nodule)の最近のマイクロアレイをベースとした発現プロファイリング研究から、前新生物病変から肝細胞癌(HCC)への悪性形質転換にMyc転写シグネチャーの活性化が不可欠であることが特定されている(Lee et al., Hepatology, 40:667-676(2004)(非特許文献14))。実際に、Myc転写シグネチャーの存在はJab1/CSN5の高発現とかなり相関していた。]
[0006] 現在、インビボでJab1/CSN5発現を有効に阻害する公知の治療剤は無く、Jab1/CSN5機能の調節を目標とした研究戦略には、インビトロ細胞培養系ではRNAiが用いられてきた。例えば、siRNAを用いてJab1/CSN5発現を低下させると、インビトロ細胞増殖アッセイにおいてHep3B細胞増殖が中程度に阻害された(Patil et al., Carcinogenesis, 26:2050-2057 (2005)(非特許文献15))。Kim et al. (Mol. Cell. Biol., 24:2251-2262 (2004)(非特許文献16))および米国特許出願公開第20050069918号(特許文献1)もまた、Jab1/CSN5 siRNAを用いたインビトロ細胞培養系について述べている。しかしながら、これらの戦略は、HCCなどの癌を治療するための治療法として試みられておらず、結果として、インビボでJab1/CSN5機能を有効に阻害することができる薬剤が長く求められている。]
[0007] 従って、Jab1/CSN5遺伝子発現を特異的に調節するための組成物および方法が必要とされている。本発明は、これらの必要および他の必要に対処する。]
[0008] 米国特許出願公開第20050069918号]
先行技術

[0009] Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188-200(2001)
Hammond et al.,Nat.Rev.Genet.,2:110-119(2001)
Claret et al., Nature, 383:453-457(1996)
Kwok et al., Plant Cell., 10:1779-1790(1998)
Deng et al., TrendsGenet., 16:202-203(2000)
Hofmann et al., Trends Biochem. Sci., 23:204-205(1998)
Glickman et al., Cell, 94:615-623 (1998)
Wei et al., Curr. Biol., 8:919-922 (1998)
Kouvaraki et al., Cancer Res., 63:2977-2981 (2003)
Sui et al., Clin. Cancer Res., 7:4130-4135 (2001)
Tsuchida et al., Jpn. J. Cancer Res., 93:1000-1006 (2002)
Fukumoto et al., Oncol. Rep., 11:277-284 (2004)
Shintani et al., Oncology, 65:355-362(2003)
Lee et al., Hepatology, 40:667-676(2004)
Patil et al., Carcinogenesis, 26:2050-2057 (2005)
Kim et al., Mol. Cell. Biol., 24:2251-2262 (2004)]
[0010] 本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、およびmiRNA)を含む組成物、ならびにこのような組成物を用いてCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供する。さらに具体的には、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾干渉RNA分子および化学修飾干渉RNA分子、ならびにその使用方法、例えば、癌(例えば、肝臓癌)などの細胞増殖障害を治療するための使用方法を提供する。]
[0011] 1つの局面において、本発明は、長さが約15〜約60ヌクレオチド(例えば、長さが約15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、もしくは19〜25ヌクレオチド、または長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチド)の二本鎖領域を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができるsiRNA分子を提供する。]
[0012] siRNAは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする配列の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。一部の態様において、siRNAは、表1〜2に示した配列の少なくとも1つまたはカクテルを含む。CSN5 siRNAは非修飾配列でもよく、(例えば、少なくとも1つの2'OMe-ヌクレオチドおよび/または本明細書に記載の他の任意の修飾ヌクレオチドを含む)修飾ヌクレオチドを含有してもよい。ある特定の好ましい態様において、修飾CSN5 siRNA配列は、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない。ある特定の他の好ましい態様において、siRNAは、CSN5-2 siRNA配列もしくはその化学修飾バージョン、例えば、CSN5-3/8を含むか、またはこれらからなる。]
[0013] 一部の態様において、siRNAは、担体システム、例えば、siRNAを哺乳動物の細胞に送達するための担体システムをさらに含む。本発明における使用に適した担体システムの例には、核酸-脂質粒子、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。]
[0014] 別の局面において、本発明は、本明細書に記載のsiRNAおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。]
[0015] 本発明はまた、本明細書に記載のsiRNA分子、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む、血清中で安定な核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供し、これは、粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含んでもよい。]
[0016] 好ましい態様において、siRNAは、水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性になるように、核酸-脂質粒子の脂質部分の中に完全に封入されている。他の好ましい態様において、粒子は、哺乳動物、例えば、ヒトに対して実質的に無毒である。]
[0017] ある特定の局面において、本発明は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる、1つまたは複数のsiRNA分子;(b)粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、1つまたは複数のカチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、1つまたは複数の非カチオン性脂質;および(d)粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つまたは複数の複合脂質を含む、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。]
[0018] 一部の態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約56.5mol%〜約66.5mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、コレステロールまたはその誘導体;および(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「1:62」製剤と呼ばれる。]
[0019] 他の態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約52mol%〜約62mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約36mol%〜約47mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「1:57」製剤と呼ばれる。]
[0020] さらなる態様において、核酸-脂質粒子は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA;(b)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約50mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約47mol%〜約69mol%を構成する、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約3mol%を構成する、PEG-脂質結合体を含む。核酸-脂質粒子のこの態様は、一般的に、本明細書において「2:40」製剤と呼ばれる。]
[0021] 別の局面において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。]
[0022] 本発明は、疾患または障害、例えば、細胞増殖障害(例えば、癌)を治療するために、本明細書に記載のsiRNA分子の1つまたは複数(例えば、核酸-脂質粒子の中に封入された本明細書に記載のsiRNA分子)を哺乳動物対象に送達および/または投与することによってCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法をさらに提供する。]
[0023] ある特定の局面において、本発明は、細胞と本明細書に記載の核酸-脂質粒子を接触させる工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入するための方法を提供する。]
[0024] ある特定の他の局面において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAをインビボ送達するための方法を提供する。]
[0025] さらなる局面において、本発明は、治療的に有効な量の本明細書に記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、癌などの細胞増殖障害の治療を必要とする哺乳動物対象において細胞増殖障害を治療するための方法を提供する。本発明の粒子は、肝臓の癌、例えば、肝細胞癌(HCC)および肝臓転移性疾患の治療において特に有効である。]
[0026] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、循環中で安定であり、薬力学的挙動に必要なサイズであり、血管外部位に進入し、標的細胞集団に到達することができるので、siRNA、aiRNA、および/またはmiRNAなどの干渉RNAを対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の投与における使用に有利かつ適切である。]
[0027] 本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および図面から当業者に明らかであろう。]
図面の簡単な説明

[0028] Huh7-1H6細胞増殖に対する、CSN5 siRNAを含有するSNALPの効果を証明するデータを示す。(A) 20nM の、SNALPで処方された非修飾CSN5-2 siRNAまたはその修飾変種でトランスフェクションした後のHuh7-luc+細胞増殖の阻害。(B)CSN5遺伝子の他の領域を標的とする、15nM の、SNALPで処方されたsiRNAでトランスフェクションした後のHuh7-luc+細胞増殖の阻害。処理の4日後に、siRNAトランスフェクタントをMTTアッセイによって調べた。対照として、未処理細胞およびルシフェラーゼ特異的siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。
HepG2-1A1細胞増殖に対する、CSN5 siRNAを含有するSNALPの効果を証明するデータを示す。(A)20nM の、SNALPで処方された非修飾CSN5-2 siRNAまたはその修飾変種でトランスフェクションした後のHepG2-luc+細胞増殖の阻害。(B)CSN5遺伝子の他の領域を標的とする、15nM の、SNALPで処方されたsiRNAでトランスフェクションした後のHepG2-luc+細胞増殖の阻害。処理の4日後に、siRNAトランスフェクタントをMTTアッセイによって調べた。対照として、未処理細胞およびルシフェラーゼ特異的siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。
化学修飾CSN5-2 siRNAがインビトロで最小限のサイトカイン応答しか誘導しなかったことを証明するデータを示す。この図は、SNALPに封入した非修飾CSN5-2 siRNAまたは修飾CSN5-2 siRNAをマウスに静脈内投与した後のIL-6レベルの定量を示す。siRNA処理の24時間後に、マウス骨髄から単離されたFlt3L由来デンドリサイト(dendricyte)の培養上清を、ELISA法によってIL-6についてアッセイした。それぞれの値は三通りの実験の平均±s.d.である。
CSN5遺伝子サイレンシングが細胞生存率アッセイにおいてHCC細胞生存を弱め、定量リアルタイムRT-PCRアッセイにおいてCSN5mRNAレベルを低下させたことを証明するデータを示す。特に、CSN5-2 siRNAは、Huh7細胞およびHepG2細胞の増殖を強力に阻害し、mRNAレベルで標的遺伝子発現をサイレンシングした。(A、B)3種類の15nM CSN5特異的siRNAでトランスフェクションした後のHuh7(A)細胞またはHepG2(B)細胞の増殖阻害を、処理の4日後にMTTアッセイによって調べた。未処理細胞(偽)およびNCsiRNA処理細胞を同時にアッセイした。結果は、540nmでの吸光度の平均パーセント±s.dとして示した。(C、D)CSN5特異的siRNAで処理した、Huh7(C)細胞またはHepG2(D)細胞におけるCSN5遺伝子発現のリアルタイムRT-PCR分析。15nM siRNAで処理した48時間後に総RNAを抽出した。全てのPCR実験において、発現はGAPDHと比較して計算し、未処理対照に対して規準化した。それぞれのバーの値は三通りの実験の平均±s.d.である。NC siRNA=負の対照siRNA。
光学顕微鏡によって検出された時に、CSN5遺伝子サイレンシングがHCC細胞生存を弱めたことを証明するデータを示す。形態変化に及ぼすCSN5特異的siRNAの影響を、15nM siRNAで4日間処理したHuh7細胞またはHepG2細胞において観察した(100×倍率)。
CSN5遺伝子サイレンシングがG1期における細胞周期停止に関連することを証明するデータを示す。15nM CSN5-2 siRNAでHuh7細胞またはHepG2細胞を48時間トランスフェクションした後に、HCC細胞の細胞周期進行に及ぼすCSN5-2 siRNAの影響を細胞周期分析によって確かめた。分析は、同数の細胞(104事象)に対して、ヨウ化プロピウム(propium iodide)によるDNA染色後のフローサイトメトリーによって行った。未処理細胞およびNC siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。
CSN5発現をサイレンシングすると、サイドポピュレーション(SP)細胞の比率が低下することを証明するデータを示す。15nM CSN5-2 siRNAでHuh7細胞またはHepG2細胞を48時間トランスフェクションした後のSP画分の変化を分析した。フローサイトメトリーを用いて、Hoechst33342色素の流出によって規定され、癌幹細胞中に豊富にあることが示されているSPのサイズを求めた。NC siRNAで処理した細胞を同時にアッセイした。
CSN5発現をサイレンシングすると、p53およびp27レベルの回復によってアポトーシスが増大することを証明するデータを示す。(A、B)15nM CSN5-2 siRNAを用いて3日間トランスフェクションした後のHuh7(A)細胞またはHepG2(B)細胞におけるアポトーシス進行の検出。未処理細胞(偽)およびNC siRNA処理細胞を同時にアッセイした。結果は、3回の独立した実験のアポトーシス誘導の平均倍率±s.d.として示した。(C)未処理(偽)のHuh7細胞もしくはHepG2細胞、または15nM NC siRNAもしくはCSN5-2 siRNAで48時間処理したHuh7細胞もしくはHepG2細胞における、CSN5、p53、p21、およびp27タンパク質発現のウエスタンブロット分析。
Huh7-luc+同所肝臓移植(OLT)モデルの樹立を証明するデータを示す。この図は、Huh7細胞におけるルシフェラーゼの安定発現およびHuh7-luc+細胞の免疫不全マウス脾臓への移植を示す。(A)インビトロBLIによるルシフェラーゼを安定発現するクローンのスクリーニング。細胞を5,000個または10,000個まで希釈し、4つのウェルにプレートし、ルシフェリン(150μg/ml最終)を培地に添加した後に10秒間、画像化した。(B)腫瘍細胞肝臓集落形成のインビボ分析。5×105Huh7-luc+細胞をSCID-ベージュマウスの脾臓に移植し、一定の間隔を開けて、肝臓内での腫瘍成長を全マウスBLIによって評価した。
CSN5-3/8 siRNAを含有するSNALPが、転移性ヒト肝臓癌マウスモデルにおける新生物成長を効果的に抑制したことを証明するデータを示す。特に、この図は、SNALPで処方されたCSN5-3/8 siRNAによるCSN5の全身標的化によって、肝臓内のHuh7-luc+同所腫瘍成長が抑制されたことを示す。(A)処置間および処置後のBLIによる腫瘍成長のインビボモニタリング。各処置群からの2匹の代表的なマウスの画像を示した。移植後8日目、11日目、14日目、および18日目に、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAを2mg/kgの投与量で尾静脈に注射した。相対生物発光変化を経時的に示すために、画像は同じ疑似カラースケールに設定した。(B)平均インビボ腫瘍生物発光の測定。Huh7- luc+細胞の肝臓腫瘍から発せられた生物発光シグナルを、各イメージング時点で光子/秒で定量した。SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAで処置されたマウスについて、平均腫瘍生物発光±s.d.を経時的にグラフ化した。(C)このパネルは、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAの投与後28日目の切除された肝臓の肉眼的肝臓形態の例を示す。(D)このパネルは、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAの投与後28日目の切除された肝臓の肉眼的肝臓形態および組織分析を示す。試験した全てのマウスからの肝臓を切片にし、組織内の腫瘍成長状態を観察するためにH&E染色した。各処置群からの代表的な肝臓の肉眼的肝臓形態および顕微鏡画像(100×)を両方とも示した。
SNALPで処方されたCSN5 3/8 siRNA処置マウスの肝臓:体重比が、SNALPで処方されたβgal478 siRNA処置(対照)マウスより少なかったことを証明するデータを示す。特に、2mg/kgの、SNALPで処方されたβgal478またはCSN5 3/8 siRNAで4回処置されたマウスの肝臓:体重比を示した。各バーは、各処置群からの肝臓:体重比の平均±s.d.を示す。]
[0029] 発明の詳細な説明
I.序論
肝細胞癌(HCC)は肝臓の主な悪性腫瘍である。HCCのほとんどの症例は、B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルスによる感染または硬変に続発し、アルコール依存症が肝硬変の最もよく見られる症例である。HCCは世界中で5番目によく見られる癌、3番目によく見られる致死性新生物であり、これにより年に約600,000人が死亡する。HCCを引き起こすと考えられているさらなる病因には、アフラトキシン-B1、II型糖尿病、および肥満が含まれる。外科手術を用いても肝細胞癌の10〜20%しか完全に除去できないので、HCCの通常のアウトカムは不良である。癌を完全に除去できなければ、通常、3〜6ヶ月以内に死に至る。実際に、米国において、HCCを有する個体の5年生存率は8.9%しかない。最近、進行疾患を有する患者の生存期間の改善(10.7ヶ月対プラセボの場合7.9ヶ月)を示した第三相データに基づいて、切除不能なHCCの治療にマルチキナーゼ阻害剤ソラフェニブが認可された(Llovet et al., J. Hepatol., 48 Suppl 1:S20-37(2008))。他の治療選択肢が現在利用できないので、ソラフェニブは、この患者集団を治療する標準の一部になる可能性が高い。]
[0030] 肝臓はまた腫瘍転移性疾患のよく見られる部位でもある。例えば、結腸直腸癌患者の約50%が肝臓に転移を発症するので、患者死亡率が大幅に高くなる(Steele et al., Annals Surgery, 210:127-138(1989))。全身投与される従来の化学療法剤および標的化学療法剤を用いた併用療法によって、これらの患者の生存期間が改善する。しかしながら、転移性結腸癌の非外科的治療は依然として実現しにくい。]
[0031] 従って、HCCおよび肝臓にある転移性疾患には、より有効な治療選択肢のために新規の治療剤の開発を必要とする、未だ対処されていない大きな医学的ニーズがあることは明らかである。]
[0032] 本発明は、急速に分裂する細胞、例えば、肝臓の癌細胞の増殖を止めるために、CSN5遺伝子発現のサイレンシングが有効な手段であるという発見に一部基づいている。ある特定の局面において、本発明は、例えば、HCC細胞生存を弱めるために、および/またはHCC細胞増殖を低下させるために、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNAを提供する。ある特定の他の局面において、本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)が、干渉RNA、例えば、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNAを封入し、肝臓の癌細胞に送達することによって、肝臓癌、例えば、HCCおよび肝臓転移性疾患の治療に特に効果があるというのが本発明の発見である。特に、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)をインビボ投与すると、HCCマウスモデルにおける新生物成長を有効に抑制することができる。]
[0033] 本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を哺乳動物対象に投与することによって、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法をさらに提供する。さらに、本発明は、干渉RNA、例えば、CSN5 siRNAを含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を投与することによって、細胞増殖障害、例えば、肝臓癌、例えば、HCCまたは肝臓転移性疾患に罹患している対象を治療する方法を提供する。]
[0034] 従って、干渉RNA、例えば、siRNAによるCSN5の標的サイレンシングは、癌、例えば、肝臓癌(例えば、HCC、肝臓転移性疾患など)を治療するための新規の治療方針として大いに有望である。しかしながら、ある特定の非修飾CSN5 siRNA配列には免疫賦活性がある場合があり、例えば、自然免疫細胞からの強力な炎症応答を刺激する。本発明は、一部の局面において、免疫賦活性の低い、または免疫賦活性が無いCSN5siRNA分子を提供することによって、この制限を克服する。非限定的な例として、本発明は、修飾ヌクレオチド、例えば、2'-O-メチル(2'OMe)ウリジンおよび/またはグアノシンヌクレオチドの、CSN5 siRNA配列の一方の鎖または両方の鎖への選択的組み込みを用いて、対応する非修飾CSN5 siRNA配列より免疫賦活性が少ないCSN5 siRNA分子を提供する。ある特定の好ましい態様において、siRNA二重鎖の二本鎖領域内に最小限のかつ選択的な2'OMe修飾を導入することによって、CSN5 siRNA分子の免疫賦活性およびCSN5発現をサイレンシングする能力を調和または最適化することができる。有利なことに、これは、ある特定の非修飾CSN5 siRNA配列の使用に関連するサイトカイン誘導、毒性、および非特異的作用がなく、治療において実行可能なCSN5 siRNA用量で実現可能である。]
[0035] 本明細書の実施例に例示したように、CSN5遺伝子発現を標的とするsiRNA分子は、インビトロでのHCC細胞増殖の阻害において有効であった。具体的には、CSN5-2 siRNAで4日間トランスフェクトされたHuh7細胞およびHepG2細胞は、それぞれ、68%および77%の増殖阻害を示し、これは、G1期での細胞周期停止と関連していた。CSN5欠損細胞もまた、負の対照であるsiRNA処理細胞と比較してアポトーシスが1.8倍増加した。これは、p53およびp27の機能回復と直接相関する特性であった。さらに、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすると、サイドポピュレーション細胞の比率が低下した(Huh7細胞では50%、HepG2細胞では70%)。このことは、CSN5遺伝子の標的化が抗癌幹細胞療法の有効な形であることを示している。重要なことに、安定核酸-脂質-粒子(SNALP)の中に封入された2'OMe修飾CSN5 siRNAをインビボ全身送達すると、転移性ヒト肝臓癌の同所マウスモデルにおいて新生物成長が有効に抑制された。まとめると、これらの結果は、CSN5がHCC細胞増殖および生存の重要な制御因子であり、HCC治療の魅力的な標的であることを示している。さらに、CSN5を介したp53分解は、腫瘍発生を促進する普遍的なエピジェネティック事象であるので、CSN5遺伝子発現を標的化する有用性は、(HCCなどの肝臓癌に加えて)発癌プロセス中にCSN5を過剰発現する他の癌に適用可能である。]
[0036] 従って、本発明のsiRNA分子は、安全かつ有効な全身送達ビヒクルを用いて送達されると、意図されない免疫刺激が無く、立証されたRNAi機構を介して治療的CSN5遺伝子サイレンシングに影響を及ぼすことができる。]
[0037] II.定義
本明細書で使用する以下の用語は、特に定めのない限り、その用語に与えられた意味を有する。]
[0038] 「COP9シグナロソームサブユニット5」、「CSN5」、「Jun活性化結合タンパク質」、または「Jab1」という用語は、複数のシグナル伝達経路において重要な制御因子として機能する高度に保存されているタンパク質複合体であるCOP9シグナロソーム(CSN)の5番目のサブユニットを指す。CSN複合体の構造および機能は、26Sプロテアソームの19S調節粒子のものと類似している。CSN複合体は、SCF型E3ユビキチンリガーゼと相互作用し、その正の制御因子として作用することが示されている(Deng et al., TrendsGenet., 16:289 (2000); Chamovitz et al.,EMBO Rep., 2:96-101(2001))。特に、CSN複合体は、murine double minute 2のヒトホモログ(Hdm2)と協調して、ユビキチン系を介したp53分解のためにp53を標的とする。CSN5は、CSN複合体のサブユニットとして、または単独で、様々なタンパク質と相互作用する多機能タンパク質であり、植物からヒトまでの広範囲の真核生物において発現される。CSN5は、c-Jun、MIF1、インテグリンLFA-1、プロゲステロン受容体、SRC-1、ルトロピン受容体、プソリアシン(psoriasin)、Smad4、および Bcl-3を含む多種多様なタンパク質と相互作用することによって機能する(Emberley et al., Cancer Res., 63:1954-1961(2003); Tomoda et al., Nature, 398:160-165 (1999); Claret et al., Nature, 383:453-457 (1996); Wan et al., EMBO Rep., 3:171-176 (2002); Bianchi et al., Nature, 404:617-621 (2000); Chauchereau et al., J. Biol. Chem., 275:8540-8548 (2000); Li et al., J. Biol. Chem., 275:13386-13393 (2000); Dechend et al., Oncogene, 18:3316-3323(1999))。CSN5はまた、細胞周期進行の負の制御因子であるp27と相互作用し、p27の分解を促進する(Tomoda et al., J. Biol. Chem., 277:2302-2310(2002); Tomoda et al., Nature, 398:160-165(1999))。CSN5ノックアウトマウスは高レベルのp53およびp27を発現し、このことは、正常条件下での腫瘍抑制遺伝子の発現の調節におけるCSN5の重要性をさらに示している。例示的なヒトCSN5mRNA配列を、GenBankアクセッション番号NM_006837(SEQID NO:34)、BC001187、BC001859、BC007272、U65928、およびU70734に示した。例示的なヒトCSN5ゲノム配列を、GenBankアクセッション番号NC_000008 REGION:相補鎖(68117868..68137116)に示した。例示的なマウスCSN5 mRNA配列を、GenBankアクセッション番号NM_013715に示した。CSN5は、COPS5、SGN5、MOV-34、およびMGC3149とも知られる。]
[0039] 「干渉RNA」または「RNAi」または「干渉RNA配列」という用語は、干渉RNAが標的遺伝子または標的配列と同一の細胞内にある場合に、(例えば、干渉RNA配列に相補的なmRNAの分解を媒介するかまたは翻訳を阻害することにより)標的遺伝子または標的配列の発現を低下させるかまたは阻害することができる一本鎖RNA(例えば、成熟miRNA)または二本鎖RNA(即ち、siRNA、aiRNA、またはpre-miRNAのような二重鎖RNA)をさす。従って、干渉RNAとは、標的mRNA配列に相補的な一本鎖RNA、または2本の相補鎖もしくは単一の自己相補的な鎖により形成された二本鎖RNAをさす。干渉RNAは、標的遺伝子または標的配列との実質的なもしくは完全な同一性を有していてもよいし、またはミスマッチ領域(即ち、ミスマッチモチーフ)を含んでいてもよい。干渉RNAの配列は、全長標的遺伝子に対応していてもよいし、またはその部分配列に対応していてもよい。]
[0040] 干渉RNAには、「低分子干渉RNA」または「siRNA」、例えば、約15〜60、15〜50、または15〜40(二重鎖)ヌクレオチド長、より典型的には、約15〜30、15〜25、または19〜25(二重鎖)ヌクレオチド長の干渉RNAが含まれ、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23(二重鎖)ヌクレオチド長である(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25ヌクレオチド長、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチド長であり、二本鎖siRNAは、約15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25塩基対長、好ましくは、約18〜22、19〜20、または19〜21塩基対長である)。siRNA二重鎖は、約1〜約4ヌクレオチド、または約2〜約3ヌクレオチドの3'オーバーハング、および5'リン酸末端を含んでいてもよい。siRNAの例には、非限定的に、一方の鎖がセンス鎖であり、他方が相補的なアンチセンス鎖である、2本の別々の分子より組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子;センス領域およびアンチセンス領域が、核酸に基づくリンカーまたは核酸に基づかないリンカーによって連結された、一本鎖分子から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子;自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を有するヘアピン二次構造を有する二本鎖ポリヌクレオチド分子;ならびに、インビボまたはインビトロでプロセシングされ、活性二本鎖siRNA分子を作製することができる、二つ以上のループ構造ならびに自己相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を有するステムを含む環状一本鎖ポリヌクレオチド分子が含まれる。]
[0041] 好ましくは、siRNAは化学合成される。siRNAは、大腸菌RNaseIIIまたはダイサーにより、より長いdsRNA(例えば、約25ヌクレオチド長より大きなdsRNA)の切断によって作製さてもよい。これらの酵素は、dsRNAを生物学的に活性のsiRNAへとプロセシングする(例えば、Yang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:9942-9947(2002);Calegari et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:14236(2002);Byrom et al.,Ambion TechNotes,10(1):4-6(2003);Kawasaki et al.,Nucleic Acids Res.,31:981-987(2003);Knight et al.,Science,293:2269-2271(2001);およびRobertson et al.,J.Biol.Chem.,243:82(1968)参照)。好ましくは、dsRNAは、少なくとも50ヌクレオチド〜約100、200、300、400、または500ヌクレオチド長である。dsRNAは、1000、1500、2000、5000ヌクレオチド長、またはそれ以上であってもよい。dsRNAは、遺伝子転写物全体をコードしてもよいし、または部分的な遺伝子転写物をコードしてもよい。ある種の例において、siRNAはプラスミドによってコードされてもよい(例えば、ヘアピンループを有する二重鎖へと自動的に折り畳まれる配列として転写されてもよい)。]
[0042] 本明細書において使用されるように、「ミスマッチモチーフ」または「ミスマッチ領域」という用語は、その標的配列に対して100%の相補性を有していない、干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)配列の部分をさす。干渉RNAは、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれ以上のミスマッチ領域を有していてもよい。ミスマッチ領域は、連続していてもよいし、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、もしくはよりそれ以上のヌクレオチドによって分離されていてもよい。ミスマッチモチーフまたはミスマッチ領域は、単一のヌクレオチドを含んでいてもよいし、または2個、3個、4個、5個、またはそれ以上のヌクレオチドを含んでいてもよい。]
[0043] 干渉RNAの「有効量」または「治療的に有効な量」とは、所望の効果、例えば、干渉RNAの非存在下で検出される正常発現レベルと比較した標的配列の発現の阻害を生ずるために十分な量である。干渉RNAにより得られた値が、対照と比べて、約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0%である場合、標的遺伝子または標的配列の発現の阻害が達成されている。標的遺伝子または標的配列の発現を測定するための適当なアッセイには、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチューハイブリダイゼーション、ELISA、免疫沈降、酵素機能のような当業者に公知の技術を使用したタンパク質またはRNAのレベルの調査のみならず、当業者に公知の表現型アッセイも含まれる。]
[0044] 干渉RNAによる免疫応答を「減少させる」、「減少させること」、「低下させる」、または「低下させること」とは、所定の干渉RNA(例えば、修飾干渉RNA)に対する免疫応答の検出可能な減少を意味するものとする。修飾干渉RNAによる免疫応答の減少の量は、非修飾干渉RNAの存在下での免疫応答のレベルと比べて決定され得る。検出可能な減少とは、非修飾干渉RNAの存在下で検出される免疫応答より約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれ以上、低いものであり得る。干渉RNAに対する免疫応答の減少は、典型的には、インビトロの応答細胞によるサイトカイン産生(例えば、IFNγ、IFNα、TNFα、IL-6、もしくはIL-12)の減少、または干渉RNAの投与後の哺乳動物対象の血清中のサイトカイン産生の減少により測定される。]
[0045] 本明細書において使用されるように、「応答細胞」という用語は、非修飾siRNAのような免疫賦活性の干渉RNAと接触した時に、検出可能な免疫応答を生ずる細胞、好ましくは、哺乳動物細胞をさす。例示的な応答細胞には、例えば、樹状細胞、マクロファージ、末梢血単核細胞(PBMC)、脾細胞等が含まれる。検出可能な免疫応答には、例えば、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、TGF、およびそれらの組み合わせのような、サイトカインまたは増殖因子の産生が含まれる。]
[0046] 「実質的同一性」とは、ストリンジェントな条件の下で参照配列にハイブリダイズする配列、または参照配列の指定された領域において指定された同一率を有する配列をさす。]
[0047] 「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、ある核酸が、標的配列、典型的には、複雑な核酸混合物の中の標的配列にハイブリダイズし、他の配列にはハイブリダイズしない条件をさす。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況においては異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範囲の案内は、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes,"Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays"(1993)に見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、明確なイオン強度pHでの特定の配列の融点(Tm)より約5〜10℃低く選択される。Tmとは、平衡時に、標的に相補的なプローブの50%が、標的配列にハイブリダイズする(明確なイオン強度、pH、および核酸濃度の下での)温度である(標的配列が過剰に存在するため、Tmにおいては、平衡時に、プローブの50%が占められる)。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションのため、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの10倍である。]
[0048] 例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下の通りであり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベーション、または5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、そして0.2×SSCおよび0.1%SDS、65℃での洗浄。PCRのため、約36℃の温度が、低ストリンジェンシー増幅のため典型的であるが、アニーリング温度は、プライマーの長さに依って、約32℃〜48℃の間で変動し得る。高ストリンジェンシーPCR増幅のためには、約62℃の温度が典型的であるが、高ストリンジェンシーアニーリング温度は、プラスミドの長さおよび特異性に依って、約50℃〜約65℃の範囲であり得る。高ストリンジェンシー増幅の場合にも、低ストリンジェンシー増幅の場合にも、典型的なサイクル条件には、90℃〜95℃で30秒〜2分の変性期、30秒〜2分持続するアニーリング期、および約72℃で1〜2分の伸長期が含まれる。低ストリンジェンシー増幅反応および高ストリンジェンシー増幅反応のためのプロトコルおよび指針は、例えば、Innis et al.,PCR Protocols,A Guide to Methodsand Applications,Academic Press,Inc.N.Y.(1990)に提供されている。]
[0049] ストリンジェントな条件の下で相互にハイブリダイズしない核酸であっても、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合には、やはり実質的に同一である。これは、例えば、遺伝暗号により許容される最大のコドン縮重を使用して、核酸のコピーが作出された場合に起こる。そのような場合、核酸は、典型的には、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」には、37℃での40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液におけるハイブリダイゼーション、および45℃での1×SSCにおける洗浄が含まれる。陽性ハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が、類似したストリンジェンシーの条件を提供するために利用され得ることを容易に認識するであろう。ハイブリダイゼーションパラメーターを決定するための付加的な指針は、多数の参照、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.に提供されている。]
[0050] 二つ以上の核酸に関する「実質的に同一の」または「実質的同一性」という用語は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの一つを使用して、または手動アラインメントおよび目視検査により測定されるような、比較ウインドウまたは指定された領域における最大の一致のために比較され整列化された場合に、同一であるか、または指定された割合の同一ヌクレオチド(即ち、指定された領域における少なくとも約60%、好ましくは、少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性)を有する、二つ以上の配列または部分配列をさす。この定義は、前後関係が示す場合には、類似して配列の相補鎖もさす。好ましくは、実質的同一性は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60ヌクレオチド長である領域に存在する。]
[0051] 配列比較のためには、典型的には、一つの配列を参照配列とし、テスト配列をそれと比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合には、テスト配列および参照配列をコンピューターへ入力し、必要であれば、サブシーケンス座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用してもよいし、または代替的なパラメータを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づき、参照配列と比べたテスト配列の配列同一率を計算する。]
[0052] 「比較ウインドウ」とは、本明細書において使用されるように、二つの配列が最適に整列化された後、ある配列が同数の連続位置の参照配列と比較され得る、約5〜約60、一般的には約10〜約45、より一般的には約15〜約30からなる群より選択される多数の連続位置のうちの一つのセグメントの参照を含む。比較のための配列の整列化の方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適の整列化は、例えば、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482(1981)のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443(1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動アラインメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.(1995 supplement)参照)によって実施され得る。]
[0053] 配列同一率および配列類似率を決定するのに適しているアルゴリズムの好ましい例は、それぞれ、Altschul et al.,Nuc.AcidsRes.,25:3389-3402(1977)およびAltschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403-410(1990)に記載されているBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLASTおよびBLAST 2.0は、本発明の核酸の配列同一率を決定するため、本明細書に記載されたパラメータと共に使用される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公に入手可能である。]
[0054] BLASTアルゴリズムは、二つの配列の間の類似性の統計分析も実施する(例えば、Karlin and Altschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:5873-5787(1993)参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の一つの尺度は、二つのヌクレオチド配列の間のマッチが偶然起こるであろう確率の指標を提供する、最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))である。例えば、テスト核酸の参照核酸との比較において、最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、その核酸は、参照配列に類似していると見なされる。]
[0055] 「核酸」という用語は、本明細書において使用されるように、一本鎖型または二本鎖型いずれかの少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含有しているポリマーをさし、DNAおよびRNAを含む。DNAは、例えば、アンチセンス分子、プラスミドDNA、凝縮前DNA、PCR産物、ベクター(P1、PAC、BAC、YAC、人工染色体)、発現カセット、キメラ配列、染色体DNA、またはこれらの群の誘導体および組み合わせの形態であり得る。RNAは、siRNA、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、mRNA、tRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA(vRNA)、およびそれらの組み合わせの形態であり得る。核酸には、合成の、天然に存在する、天然には存在しない、公知のヌクレオチドアナログまたは修飾された骨格残基もしくは結合を含有しており、参照核酸と類似した結合特性を有する核酸が含まれる。そのようなアナログの例には、非限定的に、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2'-O-メチルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が含まれる。特に限定されない限り、その用語には、参照核酸と類似した結合特性を有する、天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有している核酸が包含される。他に示されない限り、特定の核酸配列には、明示された配列のみならず、それらの保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、および相補配列も暗示的に包含される。特に、縮重コドン置換は、一つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換された配列を作製することにより達成され得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.,260:2605-2608(1985);Rossolini et al.,Mol.Cell.Probes,8:91-98(1994))。「ヌクレオチド」は、糖デオキシリボース(DNA)または糖リボース(RNA)、塩基、およびリン酸基を含有している。ヌクレオチドは、リン酸基を通して共に連結されている。「塩基」には、プリンおよびピリミジンが含まれ、これらには、さらに、天然化合物アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、イノシン、および天然アナログ、ならびにアミン、アルコール、チオール、カルボキシレート、およびハロゲン化アルキルのような新たな反応基を置く修飾を含むが、これらに限定はされない、プリンおよびピリミジンの合成誘導体が含まれる。]
[0056] 「遺伝子」という用語は、ポリペプチドまたはポリペプチド前駆体の産生のために必要なコーディング配列の部分長または全長を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列をさす。]
[0057] 「遺伝子産物」とは、本明細書において使用されるように、RNA転写物またはポリペプチドのような遺伝子の産物をさす。]
[0058] 「脂質」という用語は、脂肪酸のエステルを含むが、これに限定はされず、水に不溶性であるが多くの有機溶媒には可溶性であることを特徴とする有機化合物の群をさす。それらは、一般的に、少なくとも三つのクラスへ分類される:(1)脂肪および油のみならず、ロウも含む「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む「複合脂質」;ならびに(3)ステロイドのような「誘導脂質」。]
[0059] 「脂質粒子」は、核酸(例えば、干渉RNA)を関心対象の標的部位に送達するのに使用することができる脂質製剤を指すために本明細書において用いられる。好ましい態様において、本発明の脂質粒子は核酸-脂質粒子であり、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で、粒子の凝集を阻止する複合脂質から形成される。他の好ましい態様において、核酸は核酸-脂質粒子の脂質部分の中に封入されてもよく、それによって、核酸は酵素分解から保護される。]
[0060] 本明細書で使用する、「SNALP」という用語は安定核酸-脂質粒子を指す。SNALPは、脂質(例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、任意で、粒子の凝集を阻止する複合脂質)から作られる粒子であり、核酸(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA、ssDNA、dsDNA、ssRNA、ショートヘアピンRNA(shRNA)、dsRNA、またはプラスミド。干渉RNAが転写されるプラスミドを含む)は完全に脂質の中に封入される。本明細書で使用する、「SNALP」という用語は、核酸(例えば、プラスミド)が脂質の中に封入されている核酸-脂質粒子を指すのに用いられる用語であるSPLPを含む。SNALPおよびSPLPは、典型的には、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および任意で、脂質結合体(例えば、PEG-脂質結合体)を含有する。SNALPおよびSPLPは、静脈内(i.v.)注射後に長い循環寿命を示すことができるので、遠位(例えば、投与部位から物理的に離れた部位)に蓄積することができるので、これらの遠位でのトランスフェクトされた遺伝子の発現または標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介することができるので、全身用途に極めて有用である。SPLPには、PCT国際公開公報第WO 00/03683号に示されるように、封入された縮合剤-核酸複合体からなる「pSPLP」が含まれる。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0061] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、典型的には、約40nm〜約150nm、約50nm〜約150nm、約60nm〜約130nm、約70nm〜約110nm、または約70〜約90nmの平均直径を有し、実質的に無毒である。さらに、核酸は本発明の核酸-脂質粒子に存在する場合、水溶液中でのヌクレアーゼ分解に対して耐性である。核酸-脂質粒子およびこの調製方法は、例えば、米国特許出願公開第20040142025号および同第20070042031号に開示される。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0062] 本明細書で使用する「脂質に封入された」は、核酸(例えば、干渉RNA)などの活性薬剤または治療剤を、完全に封入する脂質粒子を指してもよく、部分的に封入する脂質粒子を指してもよく、または両方をもたらす脂質粒子を指してもよい。好ましい態様において、(例えば、SPLP、pSPLP、SNALP、または他の核酸-脂質粒子を形成するために)核酸は完全に脂質粒子に封入されている。]
[0063] 「脂質結合体」という用語は、脂質粒子の凝集を阻害する複合脂質をさす。そのような脂質結合体には、ポリアミドオリゴマー(例えば、ATTA-脂質結合体)、ジアルキルオキシプロピルにカップリングされたPEG、ジアシルグリセロールにカップリングされたPEG、コレステロールにカップリングされたPEG、ホスファチジルエタノールアミンにカップリングされたPEG、セラミドに結合したPEG(例えば、米国特許第5,885,613号参照。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。)、カチオン性PEG脂質、およびそれらの混合物のようなPEG-脂質結合体が含まれるが、これらに限定はされない。PEGは、脂質に直接結合してもよいし、またはリンカー部分を介して脂質に連結されてもよい。例えば、非エステル含有リンカー部分およびエステル含有リンカー部分を含む、脂質にPEGをカップリングするのに適している任意のリンカー部分が使用され得る。好ましい態様において、非エステル含有リンカー部分が使用される。]
[0064] 「両親媒性脂質」という用語は、脂質材料の疎水性部分が疎水相の方を向き、親水性部分が水相の方を向いている適当な材料を一部さす。親水性特徴は、炭水化物、リン酸基、カルボキシル基、スルファト基、アミノ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、ヒドロキシル基等のような、極性基または電荷を有する基の存在に由来する。疎水性は、飽和および不飽和の長鎖脂肪族炭化水素基、および一つまたは複数の芳香族基、脂環式基、または複素環式基により置換されたそのような基を含むが、これらに限定はされない、無極性基の内含により付与され得る。両親媒性化合物の例には、リン脂質、アミノ脂質、およびスフィンゴ脂質が含まれるが、これらに限定はされない。]
[0065] リン脂質の代表例には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、およびジリノレオイルホスファチジルコリンが含まれるが、これらに限定はされない。スフィンゴ脂質、糖スフィンゴ脂質ファミリー、ジアシルグリセロール、およびβ-アシルオキシ酸のようなリンを欠くその他の化合物も、両親媒性脂質と呼ばれる群に含まれる。さらに、上記の両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含むその他の脂質と混合されてもよい。]
[0066] 「中性脂質」という用語は、選択されたpHにおいて、電荷を有していないかまたは中性の双性の型で存在する多数の脂質種のうちの任意のものをさす。生理的pHにおいて、そのような脂質には、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールが含まれる。]
[0067] 「非カチオン性脂質」という用語は、両親媒性脂質のみならず、その他の中性脂質またはアニオン性脂質もさす。]
[0068] 「アニオン性脂質」という用語は、生理的pHで、負の電荷を有する任意の脂質をさす。これらの脂質には、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リジルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレイオルホスファチジルグリセロール(POPG)、および中性脂質に接合されたその他のアニオン性修飾基が含まれるが、これらに限定はされない。]
[0069] 「カチオン性脂質」という用語は、生理的pH(例えば、約7.0のpH)のような選択されたpHで、正味の正の電荷を保持している多数の脂質種のうちの任意のものをさす。驚くべきことに、複数の不飽和部位、例えば、少なくとも2個または3個の不飽和部位を有するアルキル鎖を含むカチオン性脂質は、増加した膜流動性を有する脂質粒子を形成するために特に有用であることが見出されている。本発明においても有用である多数のカチオン性脂質および関連アナログが、米国特許公開第20060083780号および第20060240554号;米国特許第5,208,036号;第5,264,618号;第5,279,833号;第5,283,185号;第5,753,613号;および第5,785,992号;ならびにPCT公開WO 96/10390に記載されている。これらの開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質の非限定的な例は、本明細書において詳細に記載される。いくつかの場合、カチオン性脂質は、プロトン化可能な三級アミンの(例えば、pH滴定可能な)頭部、C18アルキル鎖、頭部とアルキル鎖との間のエーテル結合、および0〜3個の二重結合を含む。そのような脂質には、例えば、DSDMA、DLinDMA、DLenDMA、およびDODMAが含まれる。]
[0070] 「疎水性脂質」という用語は、飽和および不飽和の長鎖脂肪族炭化水素基、ならびに1個または複数個の芳香族基、脂環式基、または複素環式基によって置換されていてもよいそのような基を含むが、これらに限定はされない、無極性基を有する化合物をさす。適当な例には、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N-N-ジアルキルアミノ、1,2-ジアシルオキシ-3-アミノプロパン、および1,2-ジアルキル-3-アミノプロパンが含まれるが、これらに限定はされない。]
[0071] 「融合性の」という用語は、脂質粒子、例えばSNALPの、細胞の膜と融合する能力をさす。膜は、原形質膜であってもよいし、または細胞器官、例えば、エンドソーム、核等を囲む膜であってもよい。]
[0072] 本明細書において使用されるように、「水性溶液」という用語は、完全にまたは部分的に水を含む組成物をさす。]
[0073] 本明細書において使用されるように、「有機脂質溶液」という用語は、完全にまたは部分的に、脂質を有する有機溶媒を含む組成物をさす。]
[0074] 「遠位部位」とは、本明細書において使用されるように、隣接した毛細血管床に限定されず、生物の全身に広く分布する部位を含む、物理的に離れた部位をさす。]
[0075] 核酸-脂質粒子、例えばSNALPに関して、「血清安定」とは、遊離のDNAまたはRNAを有意に分解するであろう血清への曝露またはヌクレアーゼアッセイの後に、粒子が有意に分解されないことを意味する。適当なアッセイには、例えば、標準的な血清アッセイ、DNAseアッセイ、またはRNAseアッセイが含まれる。]
[0076] 「全身送達」とは、本明細書において使用されるように、生物において干渉RNAのような活性薬剤または治療剤の広い体内分布をもたらす脂質粒子の送達をさす。ある種の薬剤の全身送達をもたらし得る投与技術もあるし、そうでないものもある。全身送達とは、有用な、好ましくは、治療的な量の薬剤が、身体各部の大部分に曝されることを意味する。広い体内分布を入手するためには、一般に、薬剤が、投与部位に対して遠位の疾患部位に到達する前に、(例えば、初回通過器官(肝臓、肺等)により、または迅速な非特異的な細胞結合により)急速に分解されるかまたは除去されることがないような血中寿命が必要とされる。脂質粒子の全身送達は、例えば、静脈内、皮下、および腹腔内を含む、当技術分野において公知の任意の手段によることができる。好ましい態様において、脂質粒子の全身送達は静脈内送達による。]
[0077] 「局所送達」とは、本明細書において使用されるように、干渉RNAのような活性薬剤または治療剤の、生物体内の標的部位への直接の送達をさす。例えば、薬剤は、腫瘍のような疾患部位、または炎症部位のようなその他の標的部位、または肝臓、心臓、膵臓、腎臓等のような標的器官へ、直接注射により局所送達され得る。]
[0078] 「哺乳動物」という用語は、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、家畜等のような任意の哺乳動物種をさす。]
[0079] 「癌」という用語は、異常細胞の無制御の成長を特徴とする疾患クラスの任意のメンバーをさす。その用語には、悪性、良性、軟部組織、または固形のいずれを特徴とするかに関わらず、全ての公知の癌および新生物状態が含まれ、転移前癌および転移後癌を含む全ての病期およびグレードの癌が含まれる。種々の型の癌の例には、肝臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、胆管癌、小腸癌、胃癌(胃の癌)、食道癌;胆嚢癌、膵臓癌、虫垂癌、乳癌、卵巣癌;子宮頸癌、前立腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、中枢神経系の癌、神経膠芽腫、皮膚癌、リンパ腫、絨毛癌、頭頸部癌、骨原性肉種、および血液癌が含まれるが、これらに限定はされない。肝臓癌の特定の型の非限定的な例には、肝細胞癌(HCC)、(例えば、他の何らかの非肝臓癌細胞型の転移により引き起こされた)二次性肝臓癌、および肝芽腫が含まれる。本明細書において使用されるように、「腫瘍」には、1個または複数個の癌細胞が含まれる。]
[0080] III.態様の説明
本発明は、CSN5発現を標的とする核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNAなど)を含む組成物、およびこのような組成物を用いてCSN5発現をサイレンシングする方法を提供する。]
[0081] 1つの局面において、本発明は、長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖領域を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができるsiRNA分子を提供する。]
[0082] ある特定の態様において、siRNA分子は、長さが約15〜50、15〜40、15〜35、15〜30、15〜25、もしくは19〜25ヌクレオチドの二本鎖領域、または長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25ヌクレオチドの二本鎖領域を含む。本発明のsiRNA分子は、インビトロおよび/またはインビボでCSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。]
[0083] 一部の態様において、siRNA分子は少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の好ましい態様において、siRNA分子は、二本鎖領域内に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上の修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の場合において、siRNAは、二本鎖領域内に約1%〜約100%(例えば、約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満(例えば、約25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、もしくは5%未満)または約1%〜約25%(例えば、約1%〜25%、5%〜25%、10%〜25%、15%〜25%、20%〜25%、もしくは10%〜20%)が修飾ヌクレオチドを含む。]
[0084] 他の態様において、siRNA分子は、2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、およびその混合物を含むが、これに限定されない修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、siRNAは、2'OMeヌクレオチド(例えば、2'OMeプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチド)、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、2'OMe-シトシンヌクレオチド、およびその混合物を含む。ある特定の場合において、siRNAは、2'OMe-シトシンヌクレオチドを含まない。他の態様において、siRNAはヘアピンループ構造を含む。]
[0085] siRNAは、siRNA分子の二本鎖領域の一方の鎖(すなわち、センスもしくはアンチセンス)または両方の鎖に修飾ヌクレオチドを含んでもよい。好ましくは、ウリジンおよび/またはグアノシンヌクレオチドは、siRNA二重鎖の二本鎖領域にある選択された位置で修飾される。ウリジンヌクレオチド修飾に関して、センス鎖および/またはアンチセンス鎖におけるウリジンヌクレオチドの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上が、修飾ウリジンヌクレオチド、例えば、2'OMe-ウリジンヌクレオチドでもよい。一部の態様において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある全てのウリジンヌクレオチドが2'OMe-ウリジンヌクレオチドである。グアノシンヌクレオチド修飾に関して、センス鎖および/またはアンチセンス鎖におけるグアノシンヌクレオチドの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上が、修飾グアノシンヌクレオチド、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチドでもよい。一部の態様において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある全てのグアノシンヌクレオチドが2'OMe-グアノシンヌクレオチドである。]
[0086] ある特定の態様において、siRNA配列にある少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の5'-GU-3'モチーフは、例えば、5'-GU-3'を無くすようにミスマッチを導入することによって、および/または2'OMeヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチドを導入することによって修飾されてもよい。5'-GU-3'モチーフは、siRNA配列のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖にあってもよい。5'-GU-3'モチーフは互いに隣接してもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上のヌクレオチドによって分けられてもよい。]
[0087] 一部の好ましい態様において、修飾siRNA分子は、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない。このような態様において、好都合なことに、免疫賦活性の低い修飾siRNA分子は、標的CSN5配列に対するRNAi活性を保持している。別の態様において、siRNA配列内に、例えば、siRNA二重鎖の二本鎖領域内に最小限のかつ選択的な2'OMe修飾を導入することによって、修飾siRNA分子の免疫賦活性およびその標的遺伝子発現をサイレンシングする能力を調和または最適化することができる。ある特定の場合において、修飾siRNAは、対応する非修飾siRNAより免疫賦活性が少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%少ない。修飾siRNA分子および対応する非修飾siRNA分子の免疫賦活性が、例えば、適切な脂質をベースとする送達系(例えば、本明細書において開示されるSNALP送達系)を用いた哺乳動物における全身投与または哺乳動物レスポンダー細胞トランスフェクションの約2時間〜約12時間後にINF-αおよび/またはIL-6レベルを測定することによって確かめることができることは当業者に容易に明らかであろう。]
[0088] ある特定の態様において、修飾siRNA分子のIC50 (すなわち、最大半量阻害濃度)は、対応する非修飾siRNAのIC50の10倍以下である(すなわち、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNAのIC50の10倍以下である)。他の態様において、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNA配列のIC50の3倍以下である。さらに他の態様では、修飾siRNAのIC50は、対応する非修飾siRNA配列のIC50の2倍以下である。用量反応曲線を作製することができ、当業者に公知の方法を用いて、修飾siRNAおよび対応する非修飾siRNA のIC50値を容易に求めることができることができることは当業者に容易に明らかであろう。]
[0089] さらに別の態様において、修飾siRNA分子は、標的CSN5配列の発現を、対応する非修飾siRNA配列と比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%サイレンシングすることができる。]
[0090] 一部の態様において、siRNA分子は、リン酸バックボーン修飾を含まず、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖においてリン酸バックボーン修飾を含まない。他の態様において、siRNAは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のリン酸バックボーン修飾を含み、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のリン酸バックボーン修飾を含む。好ましい態様において、siRNAはリン酸バックボーン修飾を含まない。]
[0091] さらなる態様において、siRNAは、2'-デオキシヌクレオチドを含まず、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において2'-デオキシヌクレオチドを含まない。なおさらなる態様において、siRNAは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の2'-デオキシヌクレオチドを含み、例えば、二本鎖領域のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖において1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の2'-デオキシヌクレオチドを含む。好ましい態様において、siRNAは2'-デオキシヌクレオチドを含まない。]
[0092] ある特定の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある二本鎖領域の3'末端のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドでない。ある特定の他の場合において、センス鎖および/またはアンチセンス鎖にある二本鎖領域の3'末端の近くの(例えば、3'末端の1つ、2つ、3つ、または4つのヌクレオチドの中にある)ヌクレオチドは修飾ヌクレオチドでない。]
[0093] 本明細書に記載のsiRNA分子は、二本鎖領域の一端または両端に1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチドからなる3'オーバーハングを有してもよく、二本鎖領域の一端または両端にオーバーハングが無くてもよい(すなわち、平滑末端を有してもよい)。好ましくは、siRNAは、二本鎖領域の両側に2つのヌクレオチドからなる3'オーバーハングを有する。ある特定の場合において、アンチセンス鎖にある3'オーバーハングは標的配列と相補性を有し、センス鎖にある3'オーバーハングは標的配列の相補鎖と相補性を有する。または、3'オーバーハングは標的配列またはその相補鎖と相補性を有さない。一部の態様において、3'オーバーハングは、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチド、例えば、2'-デオキシ(2'H)ヌクレオチドを含む。ある特定の好ましい態様において、3'オーバーハングはデオキシチミジン(dT)および/またはウリジンヌクレオチドを含む。他の態様において、二本鎖領域の一端または両端の3'オーバーハングにあるヌクレオチドの1つまたは複数は修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドの非限定的な例は前記に記載されており、2'OMeヌクレオチド、2'-デオキシ-2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-2-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物を含む。好ましい態様において、siRNAのセンス鎖および/またはアンチセンス鎖に存在する3'オーバーハングにある1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のヌクレオチドは、2'OMeヌクレオチド(例えば、2'OMeプリンおよび/またはピリミジンヌクレオチド)、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、2'OMe-シトシンヌクレオチド、ならびにその混合物を含む。]
[0094] siRNAは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする非修飾siRNA配列および/または修飾siRNA配列の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。siRNAのカクテルは、同じ領域もしくはドメイン(例えば、「ホットスポット」)に向けられる配列を含んでもよく、および/またはCSN5遺伝子の異なる領域もしくはドメインに向けられる配列を含んでもよい。ある特定の場合において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)の修飾siRNAがカクテルに存在する。ある特定の他の場合において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)の非修飾siRNAがカクテルに存在する。]
[0095] 一部の態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つに少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的な配列を含む、またはこれからなる。他の態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つに100%相補的な配列を含む、またはこれからなる。さらなる態様において、siRNA分子のアンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと特異的にハイブリダイズする配列を含む、またはこれからなる。非限定的な例として、CSN5 siRNA分子のアンチセンス鎖は、表1〜2に示したアンチセンス鎖配列の1つを含んでもよく、これからなってもよい。]
[0096] ある特定の態様において、siRNA分子センス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の配列を含む、またはこれからなる。ある特定の他の態様において、siRNA分子のセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部、例えば、表1に示した標的CSN5配列の1つと100%同一の配列を含む、またはこれからなる。非限定的な例として、CSN5 siRNA分子のセンス鎖は、表1〜2に示したセンス鎖配列の1つを含んでもよく、これからなってもよい。]
[0097] 好ましい態様において、siRNAは、表1〜2に示した配列(例えば、センス鎖および/またはアンチセンス鎖配列)の1つまたは複数(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含む。CSN5 siRNAセンス鎖配列および/またはアンチセンス鎖配列は、表1に示した非修飾(すなわち、天然)配列でもよく、その化学修飾バージョン(例えば、2'OMEヌクレオチドを含有する化学修飾バージョン)でもよい。特に好ましい態様において、siRNAは、表1に示したCSN5-2センス鎖(SEQID NO:3)およびアンチセンス鎖(SEQ ID NO:4)配列もしくはその化学修飾バージョンを含む、またはこれからなる。修飾CSN5-2 siRNAの非限定的な例を表2に示した。好ましくは、修飾CSN5-2 siRNAは、表2に示したCSN5-3/8センス鎖(SEQ ID NO:27)およびアンチセンス鎖(SEQ ID NO:30)配列を含む、またはこれからなる。]
[0098] 他の態様において、本発明は、本明細書に記載のsiRNA分子および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。]
[0099] 別の局面において、本発明の核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNAなど)は担体システムをさらに含む。ある特定の場合において、担体システムは、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体、およびその混合物からなる群より選択される。一般的に、核酸複合体は、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、シクロデキストリン、またはその混合物と複合体化された核酸(例えば、干渉RNA)を含んでもよい。非限定的な例として、siRNA分子はカチオン性ポリマーと複合体化されてもよく、カチオン性ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)である。好ましい態様において、担体システムは、核酸-脂質粒子、例えば、SNALPであり、核酸はsiRNAである。他の態様において、担体システムは、核酸-脂質粒子、例えば、SNALPであり、核酸は、aiRNA、miRNA、または一本鎖もしくは二本鎖のDNA、RNA、もしくはDNA/RNAハイブリッドであり、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、プラスミド、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、またはその混合物を含むが、これに限定されない。]
[0100] 一部の態様において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。核酸-脂質粒子は、典型的には、干渉RNA、例えばCSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む。ある特定の場合において、核酸-脂質粒子は、粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含んでもよい。好ましい態様において、核酸-脂質粒子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。]
[0101] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、カチオン性脂質は、例えば、以下の1つまたは複数を含んでもよい:1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA;「XTC2」)、2,2-ジリノレイル-4-(3-ジメチルアミノプロピル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(4-ジメチルアミノブチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C4-DMA)、2,2-ジリノレイル-5-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキサン(DLin-K6-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-N-メチルペピアジノ-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-MPZ)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオ(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、N-(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、3-(N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル)コレステロール(DC-Chol)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパナミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-β-オキシブタン-4-オキシ)-1-(cis,cis-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパン(CLinDMA)、2-[5'-(コレスト-5-エン-3-β-オキシ)-3'-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(cis,cis-9',1-2'-オクタデカジエノキシ)プロパン(CpLinDMA)、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(DMOBA)、1,2-N,N'-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DOcarbDAP)、1,2-N,N'-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(DLincarbDAP)、またはその混合物。ある特定の好ましい態様において、カチオン性脂質は、DLinDMA、DLin-K-C2-DMA(「XTC2」)、またはその混合物である。]
[0102] カチオン性脂質、例えば、DLin-K-C2-DMA(「XTC2」)、DLin-K-C3-DMA、DLin-K-C4-DMA、DLin-K6-DMA、およびDLin-K-MPZ、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2008年10月9日に出願された、米国特許仮出願第61/104,212号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質、例えば、DLin-K-DMA、DLin-C-DAP、DLin-DAC、DLin-MA、DLinDAP、DLin-S-DMA、DLin-2-DMAP、DLin-TMA.Cl、DLin-TAP.Cl、DLin-MPZ、DLinAP、DOAP、およびDLin-EG-DMA、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、2008年12月31日に出願された、PCT出願第PCT/US08/88676号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。カチオン性脂質、例えば、CLinDMA、ならびにさらなるカチオン性脂質の合成は、米国特許出願公開第20060240554号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0103] 一部の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約90mol%、約50mol%〜約85mol%、約50mol%〜約80mol%、約50mol%〜約75mol%、約50mol%〜約70mol%、約50mol%〜約65mol%、もしくは約50mol%〜約60mol%を構成してもよい。ある特定の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約55mol%〜約80mol%、約55mol%〜約75mol%、約55mol%〜約70mol%、約55mol%〜約65mol%、約60mol%〜約80mol%、約60mol%〜約75mol%、もしくは約60mol%〜約70mol%を構成してもよい。ある特定の他の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、もしくは90mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。]
[0104] 他の態様において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約2mol%〜約60mol%、約2mol%〜約50mol%、約5mol%〜約45mol%、約5mol%〜約30mol%、約5mol%〜約15mol%、約10mol%〜約50mol%、約20mol%〜約50mol%、約30mol%〜約50mol%、約40mol%〜約50mol%、もしくは約40mol%を構成してもよい。ある特定の場合において、カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。]
[0105] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、非カチオン性脂質は、例えば、1つまたは複数のアニオン性脂質および/または中性脂質を含んでもよい。好ましい態様において、非カチオン性脂質は、以下の中性脂質成分:(1)コレステロールもしくはその誘導体;(2)リン脂質;または(3)リン脂質およびコレステロールもしくはその誘導体の混合物の1つを含む。]
[0106] コレステロール誘導体の例には、コレスタノール、コレスタノン、コレステノン、コプロスタノール、コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテル、コレステリル-4'-ヒドロキシブチルエーテル、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。コレステリル-2'-ヒドロキシエチルエーテルの合成は、2008年4月15日に出願された、米国特許仮出願第61/045,228号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0107] リン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレイオル-ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、およびその混合物を含むが、これに限定されない、中性脂質でもよい。ある特定の好ましい態様において、リン脂質は、DPPC、DSPC、またはその混合物である。]
[0108] 一部の態様において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約10mol%〜約60mol%、約15mol%〜約60mol%、約20mol%〜約60mol%、約25mol%〜約60mol%、約30mol%〜約60mol%、約10mol%〜約55mol%、約15mol%〜約55mol%、約20mol%〜約55mol%、約25mol%〜約55mol%、約30mol%〜約55mol%、約13mol%〜約50mol%、約15mol%〜約50mol%、または約20mol%〜約50mol%を構成してもよい。非カチオン性脂質がリン脂質およびコレステロールまたはコレステロール誘導体の混合物である場合、混合物は、粒子に存在する総脂質の約40mol%、50mol%、または60mol%までを構成してもよい。]
[0109] ある特定の場合において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の約10mol%〜約49.5mol%、約13mol%〜約49.5mol%、約15mol%〜約49.5mol%、約20mol%〜約49.5mol%、約25mol%〜約49.5mol%、約30mol%〜約49.5mol%、約35mol%〜約49.5mol%、または約40mol%〜約49.5mol%を構成してもよい。]
[0110] ある特定の他の場合において、非カチオン性脂質(例えば、1つまたは複数のリン脂質および/またはコレステロール)は、粒子に存在する総脂質の(少なくとも)約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。]
[0111] ある特定の好ましい態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%のコレステロールまたはその誘導体を含む。非限定的な例として、リン脂質を含まない本発明の核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約37mol%のコレステロールまたはその誘導体を含んでもよい。他の好ましい態様において、リン脂質を含まない本発明の核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約45mol%、約30mol%〜約40mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約45mol%、約40mol%〜約45mol%、約32mol%〜約45mol%、約32mol%〜約42mol%、約32mol%〜約40mol%、約34mol%〜約45mol%、約34mol%〜約42mol%、約34mol%〜約40mol%、または約30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、もしくは45mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のコレステロールまたはその誘導体を含んでもよい。]
[0112] ある特定の他の好ましい態様において、非カチオン性脂質は、(i)粒子に存在する総脂質の約4mol%〜約10mol%のリン脂質および(ii)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%のコレステロールまたはその誘導体の混合物を含む。非限定的な例として、リン脂質およびコレステロールの混合物を含む核酸-脂質粒子は、粒子に存在する総脂質の約7mol%のDPPCおよび約34mol%のコレステロールを含んでもよい。他の態様において、非カチオン性脂質は、(i)粒子に存在する総脂質の約3mol%〜約15mol%、約4mol%〜約15mol%、約4mol%〜約12mol%、約4mol%〜約10mol%、約4mol%〜約8mol%、約5mol%〜約12mol%、約5mol%〜約9mol%、約6mol%〜約12mol%、約6mol%〜約10mol%、または約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のリン脂質;および(ii)粒子に存在する総脂質の約25mol%〜約45mol%、約30mol%〜約45mol%、約25mol%〜約40mol%、約30mol%〜約40mol%、約25mol%〜約35mol%、約30mol%〜約35mol%、約35mol%〜約45mol%、約40mol%〜約45mol%、約28mol%〜約40mol%、約28mol%〜約38mol%、約30mol%〜約38mol%、約32mol%〜約36mol%、または約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)のコレステロールまたはその誘導体の混合物を含む。]
[0113] 他の態様において、非カチオン性脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%、約10mol%〜約85mol%、約20mol%〜約85mol%、約5mol%〜約80mol%、約10mol%〜約80mol%、約20mol%〜約80mol%、約10mol%(例えば、リン脂質、例えば、DSPCまたはDPPCのみ)、または約60mol%(例えば、約10mol%のリン脂質、例えば、DSPCまたはDPPCおよび約48mol%のコレステロール)を含んでもよい。これらの態様において、コレステロールまたはコレステロール誘導体は、粒子に存在する総脂質の0mol%〜約10mol%、約2mol%〜約10mol%、約10mol%〜約60mol%、約20mol%〜約45mol%、約30mol%〜約50mol%、約40mol%〜約60mol%、または約48mol%でもよい。]
[0114] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、粒子の凝集を阻害する複合脂質は、例えば、以下:ポリエチレングリコール(PEG)-脂質結合体、ポリアミド(ATTA)-脂質結合体、カチオン性ポリマー-脂質結合体(CPL)、またはその混合物の1つまたは複数を含んでもよい。1つの好ましい態様において、核酸-脂質粒子は、PEG-脂質結合体またはATTA-脂質結合体のいずれかを含む。ある特定の態様において、PEG-脂質結合体またはATTA-脂質結合体はCPLと共に用いられる。粒子の凝集を阻害する複合脂質は、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEGジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、またはその混合物を含むPEG-脂質を含んでもよい。PEG-DAA結合体は、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG-ジミリストイルオキシプロピル(C14)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)、PEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)、またはその混合物でもよい。]
[0115] 本発明における使用に適した、さらなるPEG-脂質結合体には、mPEG2000-1,2-ジ-O-アルキル-sn3-カルボモイルグリセリド(PEG-C-DOMG)が含まれるが、これに限定されない。PEG-C-DOMGの合成は、2008年12月31日に出願された、PCT出願第PCT/US08/88676号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。本発明における使用に適した、なおさらなるPEG-脂質結合体には、1-[8'-(1,2-ジミリストイル-3-プロパノキシ)-カルボキサミド-3',6'-ジオキサオクタニル]カルバモイル-ω-メチル-ポリ(エチレングリコール)(2KPEG-DMG)が含まれるが、それに限定されるわけではない。2KPEG-DMGの合成は米国特許第7,404,969号に記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0116] 本明細書に記載のPEG-脂質結合体のPEG部分は、約550ダルトン〜約10,000ダルトンの平均分子量を含んでもよい。ある特定の場合において、PEG部分の平均分子量は、約750ダルトン〜約5,000ダルトン(例えば、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約1,500ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約3,000ダルトン、約750ダルトン〜約2,000ダルトンなど)である。好ましい態様において、PEG部分の平均分子量は約2,000ダルトンまたは約750ダルトンである。]
[0117] 一部の態様において、粒子の凝集を阻害する複合脂質は、式:A-W-Yを有するCPLである。式中、Aは脂質部分であり、Wは親水性ポリマーであり、Yはポリカチオン部分である。Wは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー、またはその組み合わせからなる群より選択されるポリマーでもよく、ポリマーは約250〜約7000ダルトンの分子量を有する。一部の態様において、Yは、選択されたpHで少なくとも4つの正電荷を有する。一部の態様において、Yは、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、その誘導体、またはその組み合わせでもよい。]
[0118] ある特定の場合において、粒子の凝集を阻害する複合脂質(例えば、PEG-脂質結合体)は、粒子に存在する総脂質の約0.1mol%〜約2mol%、約0.5mol%〜約2mol%、約1mol%〜約2mol%、約0.6mol%〜約1.9mol%、約0.7mol%〜約1.8mol%、約0.8mol%〜約1.7mol%、約1mol%〜約1.8mol%、約1.2mol%〜約1.8mol%、約1.2mol%〜約1.7mol%、約1.3mol%〜約1.6mol%、約1.4mol%〜約1.5mol%、または約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、もしくは2mol%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)を構成してもよい。]
[0119] ある特定の他の場合において、粒子の凝集を阻止する複合脂質は、粒子に存在する総脂質の0mol%〜約20mol%、約0.5mol%〜約20mol%、約1mol%〜約15mol%、約1mol%〜約10mol%、約2mol%〜約10mol%、約4mol%〜約10mol%、約5mol%〜約10mol%、約0.5mol%、約1mol%、約1.5mol%、約2mol%、約2.5mol%、約3mol%、約3.5mol%、約4mol%、約4.5mol%、約5mol%、約5.5mol%、約6mol%、約6.5mol%、約7mol%、約7.5mol%、約8mol%、約8.5mol%、約9mol%、約9.5mol%、または約10mol%を構成してもよい。]
[0120] 本発明の核酸-脂質粒子(例えば、干渉RNA、例えば、siRNAを含むSNALP)において、核酸は完全に粒子の脂質部分の中に封入されてもよく、それによって、核酸はヌクレアーゼ分解から保護される。好ましい態様において、核酸、例えば、干渉RNA(例えば、siRNA)を含むSNALPは完全に粒子の脂質部分の中に封入され、それによって、核酸はヌクレアーゼ分解から保護される。ある特定の場合において、粒子が37℃で少なくとも約20分間、30分間、45分間、または60分間ヌクレアーゼに曝露された後でも、SNALPの中の核酸は実質的に分解されない。ある特定の他の場合において、粒子が37℃で少なくとも約30分間、45分間、もしくは60分間、または少なくとも約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、もしくは36時間、血清中でインキュベーションされた後でも、SNALPの中の核酸は実質的に分解されない。他の態様において、核酸は粒子の脂質部分と複合体化される。本発明の製剤の利益の1つは、核酸-脂質粒子組成物がヒトなどの哺乳動物に対して実質的に無毒であることである。]
[0121] 「完全に封入された」という用語は、核酸-脂質粒子の中の核酸が、血清または遊離のDNAもしくはRNAをかなり分解するヌクレアーゼアッセイに曝露された後でも、あまり分解されないことを示す。完全に封入された系では、遊離核酸の100%を分解する処理において、好ましくは粒子中の核酸の約25%未満が分解され、より好ましくは粒子中の核酸の約10%未満、最も好ましくは約5%未満が分解される。核酸の状況において、完全な封入はOligreen(登録商標)アッセイによって確かめることができる。Oligreen(登録商標)は、溶解状態でオリゴヌクレオチドおよび一本鎖DNAまたはRNAを定量するための超高感度の蛍光核酸染色剤である(Invitrogen Corporation; Carlsbad, CAから入手可能)。「完全に封入された」はまた、核酸-脂質粒子が血清中で安定であること、すなわち、インビボ投与された時に核酸-脂質粒子の成分部分に迅速に分解しないことを示す。]
[0122] 別の局面において、本発明は、複数の核酸-脂質粒子を含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)組成物を提供する。好ましい態様において、核酸-脂質粒子の約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約90%〜約100%、約30%〜約95%、約40%〜約95%、約50%〜約95%、約60%〜約95%、%、約70%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約80%〜約90%、または少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)の中に核酸が封入されているように、核酸は核酸-脂質粒子粒子の脂質部分の中に完全に封入されている。]
[0123] 典型的には、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の脂質:核酸比(質量/質量比)は約1〜約100である。場合によっては、脂質:核酸比(質量/質量比)は、約1〜約50、約2〜約25、約3〜約20、約4〜約15、または約5〜約10である。好ましい態様において、核酸-脂質粒子の脂質:核酸比(質量/質量比)は、約5〜約15、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、もしくは15(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)である。]
[0124] 典型的には、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の平均直径は約40nm〜約150nmである。好ましい態様において、本発明の核酸-脂質粒子の平均直径は、約40nm〜約130nm、約40nm〜約120nm、約40nm〜約100nm、約50nm〜約120nm、約50nm〜約100nm、約60nm〜約120nm、約60nm〜約110nm、約60nm〜約100nm、約60nm〜約90nm、約60nm〜約80nm、約70nm〜約120nm、約70nm〜約110nm、約70nm〜約100nm、約70nm〜約90nm、約70nm〜約80nm、または約120nm未満、110nm未満、100nm未満、90nm未満、もしくは80nm未満(またはその任意の一部もしくはこの中の範囲)である。]
[0125] ある特定の態様において、本発明は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の核酸(例えば、干渉RNA、例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、1つまたは複数のカチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、1つまたは複数の非カチオン性脂質;および(d)粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する1つまたは複数の複合脂質を含む、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を提供する。これらの態様の中の核酸-脂質粒子は、2008年4月15日に出願された、米国特許仮出願第61/045,228号にさらに記載されている。この開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0126] 本発明の特定の1つの態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約56.5mol%〜約66.5mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「1:62」製剤と呼ばれる。好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質はコレステロールであり、複合脂質はPEG-DAA結合体である。これらは1:62製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の1:62製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のコレステロール誘導体を含む)、および複合脂質を使用できることを理解するだろう。]
[0127] 本発明の別の特定の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約52mol%〜約62mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約36mol%〜約47mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約2mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「1:57」製剤と呼ばれる。1つの好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質は、リン脂質(例えば、DPPC)およびコレステロールの混合物であり、リン脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約9mol%(例えば、約7.1mol%)を構成し、コレステロール(またはコレステロール誘導体)は、粒子に存在する総脂質の約32mol%〜約37mol%を構成し(例えば、約34.3mol%)、かつPEG-脂質はPEG-DAA(例えば、PEG-cDMA)である。これらは1:57製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の1:57製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のリン脂質および他のコレステロール誘導体を含む)、ならびに複合脂質を使用できることを理解するだろう。]
[0128] 本発明のさらに別の特定の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングする、1つまたは複数の非修飾干渉RNAおよび/または修飾干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA);(b)粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約50mol%を構成する、カチオン性脂質;(c)粒子に存在する総脂質の約47mol%〜約69mol%を構成する、非カチオン性脂質;ならびに(d)粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約3mol%を構成する、粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む。この特定の態様は、一般的に、本明細書において「2:40」製剤と呼ばれる。1つの好ましい態様において、カチオン性脂質はDLinDMAまたはDLin-K-C2-DMA(「XTC2」)であり、非カチオン性脂質はリン脂質(例えば、DPPC)およびコレステロールの混合物であり、リン脂質は、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約15mol%(例えば、約10mol%)を構成し、コレステロール(またはコレステロール誘導体)は粒子に存在する総脂質の約40mol%〜約60mol%(例えば、約48mol%)を構成し、PEG-脂質はPEG-DAA(例えば、PEG-cDMA)である。これらは2:40製剤の好ましい態様であるが、当業者であれば、本明細書に記載の2:40製剤において、他のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(他のリン脂質および他のコレステロール誘導体を含む)、ならびに複合脂質を使用できることを理解するだろう。]
[0129] 好ましい態様において、1:62製剤は、リン脂質を含まず、約1.5mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約61.5mol%DLinDMA(またはXTC2)、および約36.9mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、3成分系である。他の好ましい態様において、1:57製剤は、約1.4mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約57.1mol%DLinDMA(またはXTC2)、約7.1mol%DPPC(またはDSPC)、および約34.3mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、4成分系である。さらなる好ましい態様において、2:40製剤は、約2mol%PEG-cDMA(またはPEG-cDSA)、約40mol%DLinDMA(またはXTC2)、約10mol%DPPC(またはDSPC)、および約48mol%コレステロール(またはその誘導体)を含む、4成分系である。これらのSNALP製剤は標的製剤であり、製剤に存在する脂質(カチオン性および非カチオン性)の量ならびに製剤に存在する脂質結合体の量は異なってもよいことが理解されるはずである。]
[0130] 一部の態様において、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、表1〜2に示した配列を含む、またはこれらからなる、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上の非修飾siRNA分子および/または修飾siRNA分子を含む。]
[0131] 本発明はまた、本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。]
[0132] さらなる局面において、本明細書に記載のsiRNA分子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするための方法において用いられる。1つの態様において、本発明は、細胞と本明細書に記載のsiRNA分子を接触させることによって、CSN5遺伝子の発現(例えば、mRNAレベルおよび/またはタンパク質レベル)をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入するための方法を提供する。別の態様において、本発明は、本明細書に記載のsiRNA分子を哺乳動物に投与することによって、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子をインビボ送達するための方法を提供する。siRNA分子の投与は、当技術分野において公知の任意の経路、例えば、経口投与、鼻腔内投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、関節内投与、病巣内投与、気管内投与、皮下投与、または皮内経路によるものでよい。]
[0133] これらの方法において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子は、典型的には、担体システムを用いて処方され、siRNAを含む担体システムは、このような治療を必要とする哺乳動物に投与される。または、哺乳動物、例えば、ヒトから細胞が取り出され、siRNAが担体システムを用いてインビトロで送達され、次いで、細胞は、例えば、注射によって哺乳動物に投与される。本発明における使用に適した担体システムの例には、核酸-脂質粒子、リポソーム、ミセル、ビロソーム、核酸複合体(例えば、リポプレックス、ポリプレックスなど)、およびその混合物が含まれるが、これに限定されない。担体システムは、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子の少なくとも1つまたはカクテル(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10、またはそれ以上)を含んでもよい。ある特定の態様において、担体システムは、表1〜2に示した配列の少なくとも1つまたはカクテルを含む。]
[0134] 一部の態様において、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNA分子は、siRNA、カチオン性脂質、および非カチオン性脂質を含む核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の中にある。好ましくは、siRNAは、siRNA、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を阻害する複合脂質を含む核酸-脂質粒子の中にある。治療的に有効な量の核酸-脂質粒子を、哺乳動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウス、または霊長類、例えば、ヒト、チンパンジー、もしくはサル)に投与することができる。]
[0135] 好ましい態様において、本発明は、細胞と本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を接触させる工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)を細胞に導入するための方法を提供する。1つの態様において、細胞は哺乳動物の中にあり、哺乳動物はヒトである。別の態様において、本発明は、本明細書に記載の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を哺乳動物対象に投与する工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする1つまたは複数の干渉RNA(例えば、siRNA、aiRNA、miRNA)をインビボ送達するための方法を提供する。好ましい態様において、粒子投与方法には、経口投与、鼻腔内投与、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、関節内投与、病巣内投与、気管内投与、皮下投与、および皮内投与が含まれるが、これに限定されない。好ましくは、哺乳動物対象はヒトである。他の態様において、粒子の送達は、肝臓、例えば、肝臓腫瘍細胞への送達である。ある特定の場合において、本発明の粒子は、優先的に肝臓を標的化するのに、例えば、肝臓にある腫瘍細胞集団に到達するために使用することができる。]
[0136] 1つの態様において、注射の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、または48時間後に、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)の総注射用量の少なくとも約5%、10%、15%、20%、または25%が血漿に存在する。他の態様において、注射の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、または48時間後に、粒子の総注射用量の約20%超、30%超、40%超が血漿に存在し、粒子の総注射用量の約60%も、70%も、または80%も血漿に存在する。ある特定の場合において、複数の粒子の約10%超が、投与の約1時間後に哺乳動物の血漿に存在する。ある特定の他の場合において、粒子の存在は、粒子の投与の少なくとも約1時間後に検出可能である。ある特定の態様において、干渉RNA(例えば、siRNA)の存在は、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後、または96時間後に腫瘍細胞において検出可能である。他の態様において、干渉RNA(例えば、siRNA)による標的CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、投与の約8時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後時間後、60時間後、72時間後、または96時間後に検出可能である。さらに他の態様では、干渉RNA(例えば、siRNA)による標的CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、優先的に腫瘍細胞において起こる。さらなる態様において、投与部位の近位もしくは遠位にある部位の細胞または腫瘍細胞における干渉RNA(例えば、siRNA)の存在または効果は、投与の約12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、もしくは96時間後、または約6日後、8日後、10日後、12日後、14日後、16日後、18日後、19日後、20日後、22日後、24日後、26日後、もしくは28日後に検出可能である。さらなる態様において、本発明の粒子は非経口的にまたは腹腔内に投与される。]
[0137] 一部の態様において、CSN5遺伝子のダウンレギュレーションは、哺乳動物に由来する生物学的試料におけるmRNAレベルまたはタンパク質レベルを検出することによって確かめられる。他の態様において、CSN5配列発現のダウンレギュレーションは、哺乳動物に由来する生物学的試料における細胞の細胞生存率またはアポトーシス誘導を測定することによって検出される。]
[0138] 一部の態様において、本発明の核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)は、干渉RNA配列(例えば、siRNA)を含む1つまたは複数の核酸の治療的送達のための方法において特に有用である。特に、本発明の目的は、CSN5遺伝子の転写および/または翻訳をダウンレギュレーションまたはサイレンシングすることによって、哺乳動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウス、または霊長類、例えば、ヒト、チンパンジー、もしくはサル)における疾患または障害、例えば、細胞増殖障害(例えば、癌)を治療するためのインビトロ方法およびインビボ方法を提供することである。非限定的な例として、本発明の方法は、CSN5遺伝子を標的とする干渉RNA(例えば、siRNA)の哺乳動物対象の腫瘍(例えば、肝臓腫瘍)へのインビボ送達に有用である。]
[0139] 細胞増殖障害の非限定的な例には、新形成(例えば、癌)、過形成、再狭窄、心肥大、免疫障害、および炎症が含まれる。好ましくは、細胞増殖障害は新生物障害、例えば、癌である。一部の態様において、癌には、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、続発性肝臓癌、および肝芽腫)、パピローマ、ブラストグリオーマ、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星状細胞腫、頭部癌、頸部癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、胃癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病、骨肉腫、精巣癌、ならびにバーキット病が含まれるが、これに限定されない。本発明の核酸-脂質粒子は、肝臓の癌、例えば、肝細胞癌の治療において特に有効である。]
[0140] ある特定の態様において、疾患または障害(例えば、肝臓癌などの癌)は、CSN5遺伝子の発現および/または過剰発現と関連し、この遺伝子の発現または過剰発現は干渉RNA(例えば、siRNA)によって低下する。ある特定の他の態様において、治療的に有効な量の核酸-脂質粒子は、例えば、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)などの癌の治療のために哺乳動物に投与されてもよい。場合によっては、干渉RNA(例えば、siRNA)はSNALPの中に処方され、粒子は、このような治療を必要とする患者に投与される。他の場合において、患者から細胞が取り出され、干渉RNA(例えば、siRNA)が(例えば、本明細書に記載のSNALPを用いて)インビトロで送達され、細胞は患者に再注入される。]
[0141] 従って、本発明の核酸-脂質粒子は、循環中で安定であり、薬力学的挙動に必要なサイズであり、血管外部位に進入し、標的細胞集団に到達することができるので、干渉RNA(例えば、siRNA)などの核酸の対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)への投与における使用に有利かつ適切である。]
[0142] 別の局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする免疫賦活性siRNAを修飾するための方法を提供する。前記方法は、
(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる非修飾siRNA配列を準備する工程であって、非修飾siRNA配列は免疫賦活性を有し、長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖配列を含む、工程;および
(b)1つまたは複数のヌクレオチドを修飾ヌクレオチドで置換することによって、非修飾siRNA配列を修飾し、
それによって、非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少なく、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる修飾siRNA分子を作製する工程を含む。]
[0143] いくつかの態様において、方法は、
(c)修飾siRNA分子を哺乳動物応答細胞と、該応答細胞が検出可能な免疫応答を生ずるのに適した条件の下で接触させることにより、修飾siRNA分子が低免疫賦活性であることを確認する段階
をさらに含む。]
[0144] 関連する局面において、本発明は、
(a)CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる非修飾siRNA配列を、哺乳動物応答細胞と、該応答細胞が検出可能な免疫応答を生ずるのに適した条件の下で接触させる段階;
(b)応答細胞における検出可能な免疫応答の存在により、非修飾siRNA配列を、免疫賦活性siRNAとして同定する段階;および
(c)1個または複数個のヌクレオチドを修飾ヌクレオチドに置換することにより、非修飾siRNA配列を修飾し、それにより、非修飾siRNA配列より低賦活刺激性である修飾siRNA分子を作製する段階
を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングする免疫賦活性siRNAを同定しかつ修飾する方法を提供する。]
[0145] 一つの態様において、修飾siRNA分子は、2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'F)ヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-(2-メトキシエチル)(MOE)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、修飾siRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。]
[0146] 典型的には、非修飾siRNA配列のヌクレオチドのうちの2個、3個、4個、5個、6個、7個、またはそれ以上が、修飾ヌクレオチドに置換される。いくつかの態様において、非修飾siRNA配列の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満が、修飾ヌクレオチドに置換される。他の態様において、非修飾siRNA配列の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約10%〜約20%が、修飾ヌクレオチドに置換される。]
[0147] ある種の例において、修飾siRNA分子は、非修飾siRNA配列より少なくとも約70%低賦活刺激性である。ある種の他の場合、修飾siRNA分子は、非修飾siRNA配列のものの10倍以下であるIC50を有する。]
[0148] いくつかの態様において、哺乳動物応答細胞は、末梢血単核細胞または樹状細胞である。他の態様において、検出可能な免疫応答は、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-6、IL-12、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるサイトカインまたは増殖因子の産生を含む。さらなる態様において、検出可能な免疫応答は、テトラトリコペプチドリピートを含むインターフェロンにより誘導されるタンパク質1(interferon-induced protein with tetratricopeptide repeats 1(IFIT1))mRNAの誘導を含む。]
[0149] さらなる局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とする非対称干渉RNA(aiRNA)分子を含む組成物、およびCSN5遺伝子発現をサイレンシングするためのそのような組成物の使用法を提供する。]
[0150] 1つの態様において、aiRNA分子は、長さが約10〜約25(塩基対)ヌクレオチドの二本鎖(二重鎖)領域を含み、5'オーバーハングおよび3'オーバーハングを含むアンチセンス鎖を含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。]
[0151] ある特定の場合において、aiRNA分子は、長さが約12〜20、12〜19、12〜18、13〜17、または14〜17(塩基対)ヌクレオチド、より典型的には、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20(塩基対)ヌクレオチドの二本鎖(二重鎖)領域を含む。ある特定の他の場合において、アンチセンス鎖にある5'オーバーハングおよび3'オーバーハングは、標的CSN5mRNAに相補的な配列を含み、任意で、非標的配列をさらに含んでもよい。一部の態様において、アンチセンス鎖にある5'オーバーハングおよび3'オーバーハングはそれぞれ、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上のヌクレオチドを含む、またはこれらからなる。他の態様において、アンチセンス鎖は、標的CSN5配列またはその一部に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的な配列を含む、またはこれらからなる。]
[0152] さらなる態様において、aiRNA分子は、2'OMeヌクレオチド、2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、aiRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択されてもよい。]
[0153] 関連する局面において、本発明は、CSN5遺伝子発現を標的とするミクロRNA(miRNA)分子を含む組成物およびこのような組成物を用いてCSN5遺伝子発現をサイレンシングする方法を提供する。]
[0154] 1つの態様において、miRNA分子は、長さが約15〜約60個のヌクレオチドを含み、CSN5遺伝子発現をサイレンシングすることができる。]
[0155] ある特定の場合において、miRNA分子は、長さが約15〜50、15〜40、または15〜30個のヌクレオチドを含み、より典型的には、長さが約15〜25または19〜25ヌクレオチドを含み、好ましくは、長さが約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、miRNA分子は、CSN5mRNAを標的とする成熟miRNA分子である。]
[0156] 一部の態様において、miRNA分子は、2'OMeヌクレオチド、2'Fヌクレオチド、2'-デオキシヌクレオチド、2'-O-MOEヌクレオチド、LNAヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択される修飾ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、miRNA分子は2'OMeヌクレオチドを含む。非限定的な例として、2'OMeヌクレオチドは、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、およびその混合物からなる群より選択されてもよい。]
[0157] IV.核酸
ある特定の態様において、本発明の脂質粒子は核酸と会合して、核酸-脂質粒子(例えば、SNALP)を生じる。一部の態様において、核酸は完全に核酸-脂質粒子の中に封入されている。本明細書で使用する、「核酸」という用語は、任意のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含み、一般的に、60個までのヌクレオチドを含有する断片がオリゴヌクレオチドと呼ばれ、それより長い断片がポリヌクレオチドと呼ばれる。特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド(oligonucletoide)は長さが約15〜約60ヌクレオチドである。核酸は本発明の核酸-脂質粒子の中に入れられて単独で投与されてもよく、癌などの細胞増殖障害の治療に適した1つまたは複数の治療用ペプチド、ポリペプチド、または小さな有機分子もしくは化合物(例えば、従来の薬物)と組み合わせて投与されてもよい(例えば、同時投与されてもよい)。]
[0158] 本発明の状況において、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然の塩基、糖、および糖間(バックボーン)結合からなるヌクレオチド単量体またはヌクレオシド単量体のポリマーまたはオリゴマーを指す。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語はまた、非天然の単量体を含むポリマーもしくはオリゴマーまたはその一部も含み、これらは同様に機能する。このような修飾オリゴヌクレオチドまたは置換オリゴヌクレオチドは、特性、例えば、多量に細胞に取り込まれ、免疫原性が低く、ヌクレアーゼ存在下での安定性が高いために、天然形態より好ましいことが多い。]
[0159] オリゴヌクレオチドは、一般的に、デオキシリボオリゴヌクレオチドまたはリボオリゴヌクレオチドと分類される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、枝分かれの無い交互重合体を形成するように、デオキシリボースと呼ばれる五炭糖の5'炭素および3'炭素にリン酸が結合したものからなる。リボオリゴヌクレオチドは、五炭糖がリボースの類似の反復構造からなる。]
[0160] 本発明による核酸-脂質粒子に存在する核酸は、公知の任意の形の核酸を含む。本明細書において用いられる核酸は、一本鎖DNAもしくはRNA、または二本鎖DNAもしくはRNA、またはDNA-RNAハイブリッドでもよい。二本鎖DNAの例には、例えば、構造遺伝子、制御領域および終結領域を含む遺伝子、および自己複製系、例えば、ウイルスDNAまたはプラスミドDNAが含まれる。二本鎖RNAの例には、例えば、siRNAおよび他のRNAi剤、例えば、aiRNAおよびプレmiRNAが含まれる。一本鎖核酸には、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、成熟miRNA、および三重鎖形成オリゴヌクレオチドが含まれる。]
[0161] 本発明の核酸は様々な長さの核酸でもよく、一般的に、特定の形の核酸に左右される。例えば、特定の態様において、プラスミドまたは遺伝子は長さが約1,000〜約100,000ヌクレオチド残基でもよい。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは長さが約10〜約100ヌクレオチドでもよい。様々な関連する態様において、一本鎖、二本鎖、および三本鎖のオリゴヌクレオチドは、長さが約10〜約60ヌクレオチド、約15〜約60ヌクレオチド、約20〜約50ヌクレオチド、約15〜約30ヌクレオチドでもよく、長さが約20〜約30ヌクレオチドでもよい。]
[0162] 特定の態様において、本発明のオリゴヌクレオチド(またはその鎖)は標的ポリヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズするか、または標的ポリヌクレオチド配列に相補的である。本明細書で使用する「特異的にハイブリダイズする」および「相補的な」という用語は、DNA標的またはRNA標的とオリゴヌクレオチドとの間に安定かつ特異的な結合が生じるのに十分な程度の相補性があることを示している。オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズするために、その標的核酸配列に100%相補的である必要はないことが理解される。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドと標的配列が結合することによって標的配列の正常な機能が妨害されて、標的配列からの有用性または発現が失われた時に、および特異的結合が望まれる条件下で、すなわち、インビボアッセイもしくは治療の場合では生理学的条件下で、またはインビトロアッセイの場合ではアッセイが行われる条件下で、オリゴヌクレオチドと非標的配列の非特異的結合を避けるのに十分な程度の相補性がある時に、オリゴヌクレオチドは特異的にハイブリダイズしている。従って、オリゴヌクレオチドは、標的としている、または特異的にハイブリダイズする遺伝子またはmRNA配列の領域と比較して、1個、2個、3個、またはそれ以上の塩基置換を含んでもよい。]
[0163] A.siRNA
本発明の非修飾siRNA分子および修飾siRNA分子は、CSN5遺伝子発現をサイレンシングして、例えば、癌細胞増殖を阻害するおよび/または癌細胞死を誘導することができ、典型的には、長さが約15〜60ヌクレオチドである。修飾siRNA分子は、一般的に、対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少なく、標的CSN5配列に対するRNAi活性を保持している。一部の態様において、修飾siRNAは、少なくとも1つの2'OMeプリンヌクレオチドまたはピリミジンヌクレオチド、例えば、2'OMe-グアノシンヌクレオチド、2'OMe-ウリジンヌクレオチド、2'OMe-アデノシンヌクレオチド、および/または2'OMe-シトシンヌクレオチドを含有する。好ましい態様において、ウリジンヌクレオチドおよび/またはグアノシンヌクレオチドの1つまたは複数が修飾される。修飾ヌクレオチドは、siRNAの一方の鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス)に存在してもよく、両方の鎖に存在してもよい。siRNA配列は、オーバーハング(例えば、Elbashir et al., Genes Dev., 15:188 (2001) または Nykanen et al., Cell, 107:309(2001)に記載の3'または5'オーバーハング)を有してもよく、オーバーハングが無くてもよい(すなわち、平滑末端を有してもよい)。]
[0164] 修飾siRNAは、一般的に、siRNA二重鎖の二本鎖領域において約1%〜約100%(例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)の修飾ヌクレオチドを含む。ある特定の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上が修飾ヌクレオチドを含む。]
[0165] 一部の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満(例えば、約25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満)が修飾ヌクレオチドを含む。]
[0166] 他の態様において、siRNAの二本鎖領域内のヌクレオチドの約1%〜約25%(例えば、約1%〜25%、2%〜25%、3%〜25%、4%〜25%、5%〜25%、6%〜25%、7%〜25%、8%〜25%、9%〜25%、10%〜25%、11%〜25%、12%〜25%、13%〜25%、14%〜25%、15%〜25%、16%〜25%、17%〜25%、18%〜25%、19%〜25%、20%〜25%、21%〜25%、22%〜25%、23%〜25%、24%〜25%など)または約1%〜約20%(例えば、約1%〜20%、2%〜20%、3%〜20%、4%〜20%、5%〜20%、6%〜20%、7%〜20%、8%〜20%、9%〜20%、10%〜20%、11%〜20%、12%〜20%、13%〜20%、14%〜20%、15%〜20%、16%〜20%、17%〜20%、18%〜20%、19%〜20%、1%〜19%、2%〜19%、3%〜19%、4%〜19%、5%〜19%、6%〜19%、7%〜19%、8%〜19%、9%〜19%、10%〜19%、11%〜19%、12%〜19%、13%〜19%、14%〜19%、15%〜19%、16%〜19%、17%〜19%、18%〜19%、1%〜18%、2%〜18%、3%〜18%、4%〜18%、5%〜18%、6%〜18%、7%〜18%、8%〜18%、9%〜18%、10%〜18%、11%〜18%、12%〜18%、13%〜18%、14%〜18%、15%〜18%、16%〜18%、17%〜18%、1%〜17%、2%〜17%、3%〜17%、4%〜17%、5%〜17%、6%〜17%、7%〜17%、8%〜17%、9%〜17%、10%〜17%、11%〜17%、12%〜17%、13%〜17%、14%〜17%、15%〜17%、16%〜17%、1%〜16%、2%〜16%、3%〜16%、4%〜16%、5%〜16%、6%〜16%、7%〜16%、8%〜16%、9%〜16%、10%〜16%、11%〜16%、12%〜16%、13%〜16%、14%〜16%、15%〜16%、1%〜15%、2%〜15%、3%〜15%、4%〜15%、5%〜15%、6%〜15%、7%〜15%、8%〜15%、9%〜15%、10%〜15%、11%〜15%、12%〜15%、13%〜15%、14%〜15%など)が修飾ヌクレオチドを含む。]
[0167] さらなる態様において、例えば、siRNAの一方の鎖または両方の鎖がウリジンヌクレオチドおよび/またはグアノシンヌクレオチドにおいて選択的に修飾される場合、得られた修飾siRNAは、約30%未満の修飾ヌクレオチド(例えば、約30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%未満の修飾ヌクレオチド)または約1%〜約30%の修飾ヌクレオチド(例えば、約1%〜30%、2%〜30%、3%〜30%、4%〜30%、5%〜30%、6%〜30%、7%〜30%、8%〜30%、9%〜30%、10%〜30%、11%〜30%、12%〜30%、13%〜30%、14%〜30%、15%〜30%、16%〜30%、17%〜30%、18%〜30%、19%〜30%、20%〜30%、21%〜30%、22%〜30%、23%〜30%、24%〜30%、25%〜30%、26%〜30%、27%〜30%、28%〜30%、もしくは29%〜30%の修飾ヌクレオチド)を含み得る。]
[0168] 1.siRNA配列の選択
適当なsiRNA配列は、当技術分野において公知の任意の手段を使用して同定され得る。典型的には、Elbashir et al.,Nature,411:494-498(2001)およびElbashir et al.,EMBO J.,20:6877-6888(2001)に記載された方法が、Reynoldset al.,Nature Biotech.,22(3):326-330(2004)に示された合理的設計の規則と組み合わせられる。]
[0169] 一般に、関心対象の標的遺伝子に由来する転写物のAUG開始コドンの3'側のヌクレオチド配列を、ジヌクレオチド配列(例えば、AA、NA、CC、GG、またはUU(N=C、G、またはU))に関してスキャンする(例えば、Elbashir et al.,EMBO J.,20:6877-6888(2001)参照)。ジヌクレオチド配列の直ぐ3'側のヌクレオチドを、可能性のあるsiRNA配列(即ち、標的配列またはセンス鎖配列)として同定する。典型的には、ジヌクレオチド配列の直ぐ3'側の19個、21個、23個、25個、27個、29個、31個、33個、35個、またはそれ以上のヌクレオチドを、可能性のあるsiRNA配列として同定する。いくつかの態様において、ジヌクレオチド配列は、AA配列またはNA配列であり、AAジヌクレオチドまたはNAジヌクレオチドの直ぐ3'側の19ヌクレオチドを可能性のあるsiRNA配列として同定する。siRNA配列は、通常、標的遺伝子の長さに沿って異なる位置に間隔をあけて存在する。siRNA配列のサイレンシング効率をさらに増強するため、可能性のあるsiRNA配列を、例えば、標的細胞または標的生物の、他のコーディング配列と相同な領域を含有していない部位を同定するために分析することができる。例えば、約21塩基対の適当なsiRNA配列は、典型的には、標的細胞または標的生物のコーディング配列と相同な16〜17個超の連続塩基対を有しないであろう。siRNA配列をRNA Pol IIIプロモーターから発現させたい場合には、4個超の連続するAまたはTを欠くsiRNA配列が選択される。]
[0170] 可能性のあるsiRNA配列が同定されたならば、相補的な配列(即ち、アンチセンス鎖配列)を設計することができる。可能性のあるsiRNA配列を、当技術分野において公知の多様な基準を使用して分析することもできる。例えば、サイレンシング効率を増強するため、以下の特色のうちの一つまたは複数を有する配列を同定する合理的設計アルゴリズムにより、siRNA配列を分析することができる:(1)約25%〜約60%G/CのG/C含量;(2)センス鎖の15〜19位に少なくとも3個のA/U;(3)内部リピートなし;(4)センス鎖の19位がA;(5)センス鎖の3位がA;(6)センス鎖の10位がU;(7)センス鎖の19位がG/Cではない;および(8)センス鎖の13位がGではない。これらの特色の各々の適当な値を割り当てるアルゴリズムが組み入れられた、siRNAの選択のために有用なsiRNA設計ツールは、例えば、http://boz094.ust.hk/RNAi/siRNAに見出され得る。上記の特徴のうちの一つまたは複数を有する配列が、可能性のあるsiRNA配列としてのさらなる分析および試験のため選択され得ることを、当業者は認識するであろう。]
[0171] さらに、以下の基準のうちの一つまたは複数を有する可能性のあるsiRNA配列は、しばしば、siRNAとして排除され得る:(1)4個以上の連続する同一塩基のストレッチを含む配列;(2)Gのホモポリマーを含む配列(即ち、これらのポリマーの構造的特徴による可能性のある非特異的効果を低下させるため;(3)三重塩基モチーフ(例えば、GGG、CCC、AAA、またはTTT)を含む配列;(4)7個以上の連続するG/Cのストレッチを含む配列;および(5)内部フォールドバック構造をもたらす、候補内に4塩基以上の直接リピートを含む配列。しかしながら、上記の特徴の一つまたは複数を有する配列であっても、可能性のあるsiRNA配列としてのさらなる分析および試験のため選択され得ることを、当業者は認識するであろう。]
[0172] いくつかの態様において、可能性のあるsiRNA配列は、例えば、Khvorova et al.,Cell,115:209-216(2003);およびSchwarz et al.,Cell,115:199-208(2003)に記載されるような、siRNA二重鎖非対称性に基づき、さらに分析され得る。他の態様において、可能性のあるsiRNA配列は、例えば、Luo et al.,Biophys.Res.Commun.,318:303-310(2004)に記載されるように、標的部位における二次構造に基づき、さらに分析され得る。例えば、標的部位における二次構造は、塩基対合およびステムループの形態の比較的小さい二次構造が存在する、標的部位への接近可能性にとって好都合なsiRNA配列を選択するMfoldアルゴリズム(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/rna/form1.cgiで入手可能)を使用してモデル化され得る。]
[0173] 可能性のあるsiRNA配列が同定されたならば、その配列は、例えば、インビトロサイトカインアッセイまたはインビボ動物モデルを使用して、免疫賦活特性の存在に関して分析され得る。GUリッチモチーフ(例えば、5'-GU-3'、5'-UGU-3'、5'-GUGU-3'、5'-UGUGU-3'等)のようなsiRNA配列のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖のモチーフも、配列が免疫賦活性であるか否かの指標を提供することができる。siRNA分子が免疫賦活性であることが見出されたならば、次いで、それを、本明細書に記載されるように、免疫賦活特性を減少させるために修飾することができる。非限定的な例として、siRNAが免疫賦活性siRNAであるかまたは非免疫賦活性siRNAであるかを決定するためには、細胞が検出可能な免疫応答を生ずるような条件の下で、siRNA配列を哺乳動物応答細胞と接触させることができる。哺乳動物応答細胞は、未感作の哺乳動物(即ち、以前にsiRNA配列の遺伝子産物と接触したことがない哺乳動物)に由来し得る。哺乳動物応答細胞は、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、マクロファージ等であり得る。検出可能な免疫応答には、例えば、TNF-α、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-6、IL-12、またはそれらの組み合わせのようなサイトカインまたは増殖因子の産生が含まれ得る。次いで、免疫賦活性であることが同定されたsiRNA分子は、センス鎖および/またはアンチセンス鎖のヌクレオチドのうちの少なくとも1個を修飾ヌクレオチドに交換することにより、免疫賦活特性を減少させるために修飾され得る。例えば、siRNA二重鎖の二本鎖領域内のヌクレオチドのうちの約30%未満(例えば、約30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満)が、2'OMeヌクレオチドのような修飾ヌクレオチドに交換され得る。次いで、修飾siRNAは、免疫賦活特性が低下したかまたは抑止されたことを確認するため、上記のような哺乳動物応答細胞と接触させられ得る。]
[0174] 免疫応答を検出するための適当なインビトロアッセイには、Davidら(米国特許第4,376,110号)の二重モノクローナル抗体サンドイッチイムノアッセイ技術;モノクローナル-ポリクローナル抗体サンドイッチアッセイ(Wide et al.,in Kirkham and Hunter,eds.,Radioimmunoassay Methods,E.and S.Livingstone,Edinburgh(1970));Gordonら(米国特許第4,452,901号)の「ウェスタンブロット」法;標識されたリガンドの免疫沈降(Brown et al.,J.Biol.Chem.,255:4980-4983(1980));例えば、Raines et al.,J.Biol.Chem.,257:5154-5160(1982)により記載されたような酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA);蛍光色素の使用を含む免疫細胞化学的技術(Brooks et al.,Clin.Exp.Immunol.,39:477(1980));および活性の中和(Bowen-Pope et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:2396-2400(1984))が含まれるが、これらに限定はされない。上記イムノアッセイに加え、米国特許第3,817,827号;第3,850,752号;第3,901,654号;第3,935,074号;第3,984,533号;第3,996,345号;第4,034,074号;および第4,098,876号に記載されたものを含む、多数のその他のイムノアッセイも利用可能である。これらの参考文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
[0175] 免疫応答を検出するためのインビボモデルの非限定的な例には、例えば、Judge et al.,Mol.Ther.,13:494-505(2006)に記載されたようなインビボマウスサイトカイン誘導アッセイが含まれる。ある種の態様において、以下のように実施され得るアッセイ:(1)siRNAを、外側尾静脈への標準的な静脈内注射により投与することができる;(2)投与の約6時間後、心臓穿刺により血液を収集し、サイトカイン分析のため血漿として加工することができる;そして(3)製造業者の指示に従って、サンドイッチELISAキットを使用して、サイトカインを定量化することができる(例えば、マウスおよびヒトのIFN-α(PBLBiomedical;Piscataway,NJ);ヒトのIL-6およびTNF-α(eBioscience;San Diego,CA);およびマウスのIL-6、TNF-α、およびIFN-γ(BD Biosciences;San Diego,CA))。]
[0176] サイトカインおよび増殖因子に特異的に結合するモノクローナル抗体は、複数の供給元から市販されており、当技術分野において公知の方法を使用して作製されてもよい(例えば、Kohler et al.,Nature,256: 495-497(1975)およびHarlow and Lane,ANTIBODIES,A LABORATORYMANUAL,Cold Spring Harbor Publication,New York(1999)参照)。モノクローナル抗体の作製は、以前に記載されており、当技術分野において公知の任意の手段によって達成され得る(Buhring et al.,in Hybridoma,Vol.10,No.1,pp.77-78(1991))。いくつかの方法において、モノクローナル抗体は、検出を容易にするため、(例えば、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段により検出可能な任意の組成物により)標識される。]
[0177] 2.siRNA分子の作製
siRNAは、いくつかの形態で提供され得、例えば、一つもしくは複数の単離された低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖として、比較的長い二本鎖RNA(dsRNA)として、またはDNAプラスミド内の転写カセットから転写されるsiRNAもしくはdsRNAとして提供され得る。siRNA配列は、オーバーハング(例えば、Elbashir et al.,Genes Dev.,15:188(2001)もしくはNykanen et al.,Cell,107:309(2001)に記載されるような3'オーバーハングもしくは5'オーバーハングを有していてもよいし、またはオーバーハングを欠いてもよい(即ち、平滑末端を有していてもよい)。]
[0178] 長いRNA前駆体を提供するためにRNA集団を使用することができ、または選択された標的配列との実質的なもしくは完全な同一性を有する長いRNA前駆体を、siRNAを作製するために使用することができる。RNAは、当業者に周知の方法に従って、細胞または組織から単離されてもよいし、合成されてもよいし、かつ/またはクローニングされてもよい。RNAは、混合集団(細胞または組織から入手されたもの、cDNAから転写されたもの、サブトラクションを受けたもの、選択されたもの等)であってもよいし、または単一の標的配列を表していてもよい。RNAは、(例えば、組織または細胞の試料から単離された)天然に存在するものであってもよいし、(例えば、T7ポリメラーゼもしくはSP6ポリメラーゼおよびPCR産物またはクローニングされたcDNAを使用して)インビトロ合成されてもよいし、または化学合成されてもよい。]
[0179] 長いdsRNAを形成するため、合成RNAの場合には、相補鎖もインビトロで転写し、dsRNAが形成されるようハイブリダイズさせる。天然に存在するRNA集団が使用される場合には、例えば、RNA集団に対応するcDNAを転写することによって、またはRNAポリメラーゼを使用することによって、(例えば、大腸菌RNAse IIIまたはダイサーによる消化のためのdsRNAが形成されるよう)RNA相補鎖も提供される。次いで、RNA前駆体を、消化のための二本鎖RNAが形成されるようハイブリダイズさせる。dsRNAは、対象に直接投与されてもよいし、または投与前にインビトロで消化されてもよい。]
[0180] RNAの単離、RNAの合成、核酸のハイブリダイゼーション、cDNAライブラリーの作製およびスクリーニング、ならびにPCRの実施のための方法は、当技術分野において周知であり(例えば、Gubler and Hoffman,Gene,25:263-269(1983);Sambrook et al.(前記);Ausubel et al.(前記)参照)、PCR法(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methodsand Applications(Innis et al.,eds,1990)参照)も同様である。発現ライブラリーも当業者に周知である。本発明において有用な一般的な方法を開示している付加的な基礎的な教科書には、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(2nd ed.1989);Kriegler,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.,eds.,1994)が含まれる。これらの参考文献の開示はその全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。]
权利要求:

請求項1
長さが約15〜約60ヌクレオチドの二本鎖領域を含み、COP9シグナロソームサブユニット5(CSN5)遺伝子発現をサイレンシングすることができる、siRNA分子。
請求項2
二本鎖領域内のヌクレオチドの1つまたは複数が修飾ヌクレオチドを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項3
前記修飾ヌクレオチドが2'-O-メチル(2'OMe)ヌクレオチドを含む、請求項2記載のsiRNA分子。
請求項4
二本鎖領域内のヌクレオチドの約25%未満が修飾ヌクレオチドを含む、請求項2記載のsiRNA分子。
請求項5
対応する非修飾siRNA配列より免疫賦活性が少ない、請求項2記載のsiRNA分子。
請求項6
siRNA分子の一方の鎖または両方の鎖に3'オーバーハングを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項7
SEQID NO:4の核酸配列を含むアンチセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項8
SEQID NO:30の核酸配列を含むアンチセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項9
SEQID NO:3の核酸配列を含むセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項10
SEQID NO:27の核酸配列を含むセンス鎖を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項11
CSN5-2を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項12
CSN5-3/8を含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項13
表1に示した配列の少なくとも1つを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項14
表2に示した配列の少なくとも1つを含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項15
担体システムをさらに含む、請求項1記載のsiRNA分子。
請求項16
担体システムが核酸-脂質粒子を含む、請求項15記載のsiRNA分子。
請求項17
請求項1記載のsiRNA分子および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
請求項18
(a)請求項1記載のsiRNA分子;(b)カチオン性脂質;および(c)非カチオン性脂質を含む、核酸-脂質粒子。
請求項19
カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約50mol%〜約85mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項20
カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約20mol%〜約50mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項21
カチオン性脂質が、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、またはそれらの混合物を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項22
カチオン性脂質が、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-C2-DMA)を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項23
非カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約13mol%〜約49.5mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項24
非カチオン性脂質が、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約90mol%を構成する、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項25
非カチオン性脂質がリン脂質を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項26
非カチオン性脂質が、リン脂質とコレステロールまたはその誘導体との混合物を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項27
リン脂質が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、またはそれらの混合物を含む、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
請求項28
リン脂質が、粒子に存在する総脂質の約4mol%〜約10mol%を構成し、かつコレステロールが、粒子に存在する総脂質の約30mol%〜約40mol%を構成する、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
請求項29
リン脂質が、粒子に存在する総脂質の約5mol%〜約15mol%を構成し、かつコレステロールが、粒子に存在する総脂質の約45mol%〜約55mol%を構成する、請求項26記載の核酸-脂質粒子。
請求項30
非カチオン性脂質がコレステロールまたはその誘導体を含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項31
コレステロールまたはその誘導体が、粒子に存在する総脂質の約31.5mol%〜約42.5mol%を構成する、請求項30記載の核酸-脂質粒子。
請求項32
粒子の凝集を阻害する複合脂質をさらに含む、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項33
粒子の凝集を阻害する複合脂質が、粒子に存在する総脂質の約0.5mol%〜約2mol%を構成する、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
請求項34
粒子の凝集を阻害する複合脂質が、粒子に存在する総脂質の約1mol%〜約10mol%を構成する、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
請求項35
粒子の凝集を阻害する複合脂質が、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質結合体を含む、請求項32記載の核酸-脂質粒子。
請求項36
PEG-脂質結合体が、PEG-ジアシルグリセロール(PEG-DAG)結合体、PEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)結合体、またはそれらの混合物を含む、請求項35記載の核酸-脂質粒子。
請求項37
PEG-DAA結合体が、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(PEG-DMA)結合体、PEG-ジステアリルオキシプロピル(PEG-DSA)結合体、またはそれらの混合物を含む、請求項36記載の核酸-脂質粒子。
請求項38
核酸-脂質粒子を37℃で30分間、血清中でインキュベーションした後に、前記粒子中のsiRNA分子が実質的に分解されていない、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項39
siRNA分子が完全に核酸-脂質粒子に封入されている、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項40
核酸-脂質粒子の脂質:siRNA質量比が約5〜約15である、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項41
核酸-脂質粒子の直径の中央値が約40nm〜約150nmである、請求項18記載の核酸-脂質粒子。
請求項42
請求項18記載の核酸-脂質粒子および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
請求項43
細胞と、請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子とを接触させる工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAを細胞に導入する方法。
請求項44
前記細胞が哺乳動物内にある、請求項43記載の方法。
請求項45
前記哺乳動物が癌を有すると診断されている、請求項44記載の方法。
請求項46
前記癌が肝臓癌である、請求項45記載の方法。
請求項47
請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、CSN5遺伝子発現をサイレンシングするsiRNAをインビボ送達するための方法。
請求項48
前記投与が、経口、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、病巣内、気管内、皮下、および皮内からなる群より選択される、請求項47記載の方法。
請求項49
前記哺乳動物対象が癌を有すると診断されている、請求項47記載の方法。
請求項50
前記癌が肝臓癌である、請求項49記載の方法。
請求項51
治療的に有効な量の請求項1記載のsiRNA分子または請求項18記載の核酸-脂質粒子を哺乳動物対象に投与する工程を含む、癌の治療を必要とする哺乳動物対象において癌を治療するための方法。
請求項52
前記投与が、経口、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、病巣内、気管内、皮下、および皮内からなる群より選択される、請求項51記載の方法。
請求項53
前記癌が肝臓癌である、請求項51記載の方法。
請求項54
前記肝臓癌が肝細胞癌である、請求項53記載の方法。
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